現在、レニー・クラヴィッツはエルセーラ島にあるバハマの邸宅と、クラヴィッツ・デザイン事務所の本社があるニューヨークとの間を半々で行き来する生活を送っている。
現在は独身であるが、1987年から1993 年までの6年間、女優のリサ・ボネット(Lisa Bonet)と6年間の結婚生活を送り、2人の間には現在31歳になる女優のゾーイ・クラヴィッツ(Zoe Kravitz)がいる。
ちなみに、リサは現在『アクアマン』(原題:Aquaman)に主演しているジェイソン・モモア(Jason Momoa)と再婚し、娘のゾーイは『ビッグ・リトル・ライズ』(Big Little Lies)や、ごく最近ではテレビ・シリーズ番組『ハイ・フィデリティ』(High Fidelity)に出演している。
また、フランス人シンガーのヴァネッサ・パラディ(Vanessa Paradis)、ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)のモデル、アドリアナ・リマ(Adriana Lima)、女優のニコール・キッドマン(Nichole Kidman)たちと数々の浮名を流しているクラヴィッツは自身の長い独身生活について次のように述べている。
「もちろん、自分が愛して心を寄せる女性と一緒にいたいという気持ちはいつも持っているよ。でも、言い訳するわけではないけれど、歌やアートに身をささげていると、“どこにでもいるようで、どこにもいない”というような生活の連続で、誰かと人生を共にするのはとても難しいというのが現実なんだ。
でも、今まで生きてきて、色々なことを学んだし、もうそろそろ愛する人と一緒に過ごす用意はできていると思うよ。自然な流れに身を任せていれば、きっと思いは叶うと信じているしね。」
━━あなたの新しい著作『レット・ラヴ・ルール』は、自己確認に関する自分自身への長年に渡る基本的な問い掛けについて書かれているようですが、そうした問題に関して何か特別なメッセージがあるのでしょうか?
この本を書くこと自体が僕にとっては心の癒しになったり、今まで自分の心の中に隠していた思いを浮き彫りにしてくれたのではないかと思っているんだ。
今の僕は自分を受け入れることができるし、それは神様からの最高の贈り物だと思うよ。僕は成長する中で、両親の結婚は社会の規範からはずれているという事実を嫌でも感じ、理解しなければならなかったし、それは僕が学校に行き始めてからも同じことだったんだ。
いつも無意識のうちに、2つの肌の色、2つの文化、2つの宗教という視点から物事を捉えなければならなかったし、それは僕にとってはごく自然の成り行きだったんだ。
他のミュージシャンたちを見回してみても、どこにも属せない自分がいるのを感じたし、アーティストとしての自己確立にも、かなりの時間が掛かったことは事実なんだ。
でも、何かを装ったりせずに、そのままの自分でいてよいんだと分かったときに、今までのステージネーム“ロメオブルー”を本名のレニー・グラヴィツに変えたというのが僕のステージ名の成り行きに関する経緯なんだ。
━━お母さまはいつもあなたの人生の中心にいる存在のようですが、“2つの祖国”を持つあなたにどのようなアドバイスをしてくれたのでしょうか?
母は美しく、正直で、分け隔てのない、慈悲の心と溢れるほどの愛を持った女性で、息子の僕に対して、生まれながらにして持ち合わる“2つの血”と“2つの宗教”をしっかりと受け止めて理解していてほしいと考えていたのではないかと思うよ。
でも、社会はいつも僕のことを“黒人”のカテゴリーに入れて見ていたようだけれど・・・。
━━お父様とはさまざまな確執があったということですが?
父親も僕のことを心から愛してくれていたけれど、きっとその愛をどのように表現したら良いのか分からなかったんだと思うよ。
でも、父は“父親として息子にチャレンジする”という逆の形で、僕に対する愛を伝えてくれたのではないかと思っているんだ。
今思えば、父親との間に生まれたある種の“摩擦”が、僕の内面にあった思いを引き出して、早い時期に家を出て自分探しの旅に出ることができたと思っているんだ。
━━10代の頃、お父様と大喧嘩をして家を出たということですが?
ある晩、卓越したドラムの演奏で有名なバディ・リッチ(Buddy Rich)の演奏のテクニックを聴いてみたいと父親に夜の外出を許可してくれるように頼んでみたんだ。でも、どうしても一度彼の演奏を聴いてみたいとしつこくせがむ僕に対して、父は“夜遊びが過ぎる”という理由で、その夜の外出を許可してくれず、お互いに鼻を突き合わせて争う結果になってしまったんだ。
振り返ってみると、あれが僕の父親に対する最初の反抗で、昔グリーンベレー部隊に属していた強者(つわもの)の父も、僕の強硬な抵抗にびっくりしてしまった感じだったな。
そして、どうしても自分の意思を通そうとする僕に対して怒り心頭に発した父は「この家のルールに従わないのなら、2度とこの家に戻ってくるな!」と言ったんだ。
僕は着の身着のまま、ほんのわずかの身の回り品を手にしてバディ・リッチのショーを見に行ったんだけれど、さてショーが終わっても、どこに行ってどのように生きていったら良いのかもわからない状態! でも僕はあの夜をきっかけにはっきりと自立の道を考えるようになったんだ。
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Vol.3へ続く・・・。