ティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)はこの10年間で、同世代を代表する俳優としての地位を確立しました。
今年初めには、『名もなき者／A COMPLETE UNKNOWN』(原題:A COMPLETE UNKNOWN)でボブ・ディラン(Bob Dylan)を演じ、2018年のブレイク作『君の名前で僕を呼んで』(原題:Call Me By Your Name)(同作でアカデミー賞主演男優賞ノミネート、1939年以来同部門でノミネートされた最年少記録)に続き、 2度目の主演男優賞ノミネートを果たしました。
また、その間には『DUNE/デューン 砂の惑星』(原題:Dune)と『デューン 砂の惑星 PART2』(原題：Dune:Part Two)の2作品で銀河の救世主ポール・アトレイデス(Paul Atreides)を演じ、国際的なスターへと躍り出ました。
ジョシュ・サフディ(Josh Safdie)監督による新作映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』(原題:Marty Supreme)は、2025年12月26日にイギリス、2026年3月13日に日本で公開されます。
本作で彼は、傲慢で利己的で自己中心的な卓球選手を演じ、スクリーン上での多彩なキャラクター表現の幅を広げています。ニューヨーク市を舞台に、シャラメの出身地からそう遠くない場所で撮影された本作は、目標を達成するためにあらゆる限界に挑戦する野心的なアスリートの姿を鮮やかに描いています。
「この役は、この業界で成功を夢見て必死に頑張っていた売れない俳優だった頃の私と、それほどかけ離れていないんです。」と、12月末(1995年12月27日生まれ)に30歳になったシャラメは語りました。
「中には、偶然成功を手にする幸運に恵まれたり、人生でやりたいことを追求することに消極的だったりする人もいます。でも、私の場合はそうではありませんでした。1万時間も練習に励んだこと、大学を中退したこと、リスクを負ったこと、そして最初は型破りなプロジェクトに挑戦したこと。当時、20歳の私が下した選択は、ある意味過激だったんです。」
1950年代の卓球チャンピオン、マーティ・ライスマン(Marty Reisman)の回顧録『The Money Player: The Confessions of America’s Greatest Table Tennis Champion and』 (マネー・プレイヤー)を大まかに基にしたA24(制作会社／配給会社)制作のインディーズ映画は、ロウアー・イースト・サイド(Lower East Side)の風変わりなユダヤ系移民家庭で育ち、卓球への情熱を育んだ、図々しい卓球選手のキャリアを描いています。
サフディの妻がニューヨークのリサイクルショップでこの本を購入し、彼に見せたところ、表紙に写っていた実在のマーティの写真を見て、サフディはすぐにシャラメのキャスティングを思いつきました。
「ティミー(Timmy)に(本を)見せて…『この世界を舞台にした映画を撮りたいんだ。この選手の顔を見てみて』と言ったんだ。するとティミーは『信じられない! 僕に似てる』って言ったんだ。」
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』は9月のトロント国際映画祭でプレミア上映され、大きな話題を呼びました。シャラメ、サフディ監督、そして作品自体がアカデミー賞ノミネートの最有力候補と目されています。
キャストにはオデッサ・アジオン(Odessa A’zion)、サンドラ・バーンハード(Sandra Bernhard)、フラン・ドレシャー(Fran Drescher)、そして7年ぶりのスクリーン出演となるグウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)が名を連ねています。
ティモシー・シャラメは、フランス人ジャーナリストのマーク・シャラメ(Marc Chalamet)(彼の名前は「ティーモテイ」(TEE-mo-TAY)と発音し、シャラメ(Chalamet)と韻を踏む)とアメリカ人ダンサーの母の間に生まれました。
そのため、シャラメはフランス語と英語の両方に堪能で、将来はフランス映画に出演することを夢見ています。ニューヨーク市に在住し、ここ2年間はモデル兼リアリティー番組のスター、カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)と交際しています。
━━ジョシュ・サフディ監督と『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』とはどのように関わるようになったのですか?
すごく自然な流れで起こりました。私は彼と彼の弟ベニー(Benny)の作品のファンで、エージェントの1人から『グッド・タイム』(原題:Good Time)が公開されるって聞いたんです。すごくニューヨークっぽい映画で、あなたの好みに合うし、ロバート・パティンソン(Robert Pattinson)が主演だったのです…それで、実際に映画にすごく興奮したんです。
映画のアフターパーティーでジョシュが私と友人のところにやってきて、私に少し興味を持ってくれたんです。彼の世界観になじむには程よく変わっていたからでしょう。彼に求められたのは最高の褒め言葉でした。彼の世界観になじむには程よくへこんでいるし、洗練されすぎていないので。
その後、私は尊敬する偉大な俳優たちと同じように彼をストーキングし、ジョシュと映画を一緒に作ろうと彼にべったりと付きまといました。
『アンカット・ダイヤモンド』(原題:Uncut Gems)がトロント国際映画祭でプレミア上映されたとき、レセプションがあり、私は彼や他のキャストとばかり遊んでいたので、ある人がジョシュに近づいて「彼(シャラメ)は映画に出ているの?」と聞いてきたほどでした…。
6、7年前、ジョシュがこの映画の構想を話してくれたんです。確か、ある時点では彼ら(ジョシュとベニー・サフディ)が一緒に映画を作ろうとしていたと思います。奇抜なファッションの短編映画を作ろうとしたんですが、結局実現しませんでした…それが、私がジョシュと仕事をするきっかけになったんです。
Words © Jan Janssen / WENN
Photos © Phil Lewis / WENN
後編へ続く・・・。
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