オーストラリアの険しい地域で育った少年時代、クリス・ヘムズワース(Chris Hemsworth)はジョージ・ミラー(George Miller)監督の『マッドマックス』(原題:Mad Max)シリーズの大ファンでした。『アベンジャーズ』(原題:Marvel’s The Avengers)や『マイティ・ソー』(原題:Thor)シリーズでの活躍でハリウッドの大スターになった後も、いつか自分が『マッドマックス』シリーズに出演するチャンスを得るとは夢にも思っていませんでした。
しかし、5月に観客はジョージ・ミラー監督の『マッドマックス:フュリオサ』(原題:Furiosa: A Mad Max Saga)でヘムズワースが出演するのを見ることになります。これは2015年の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(原題:Mad Max: Fury Road)の前編で、アニャ・テイラー=ジョイ(Anya Taylor-Joy)がかつてシャーリーズ・セロン(Charlize Theron)が演じた主役を演じています。
悪魔の軍閥ディメンタス(Dementus)の役で、ヘムズワースはおなじみのマーベルのスーパーヒーローのイメージとは決定的に決別し、彼の暗い側面を探究することになります。
「ディメンタスは…荒地から生まれた、暴力的で、狂気的で、残忍な人物です。彼は環境の産物です。彼には激しさがあります…。彼は殺すか殺されるかの空間に生まれ、暴力で支配することを学んでいます。彼にはカリスマ性があり、それは非常に巧妙なカリスマ性です。彼は複雑な人物です。」とヘムズワースは言います。
ヘムズワースは『マッドマックス:フュリオサ』を“これまでのキャリアで最高の経験”と評しただけでなく、以前『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でマックス役をトム・ハーディ(Tom Hardy)に奪われていたため、ミラー監督と仕事をするという野望を叶えるものとなりました。
『マッドマックス:フュリオサ』では、幼いフュリオサ(Furiosa)が、軍閥ディメンタス率いる大バイカー集団に、母たちが住む緑の土地から誘拐される様子が描かれます。バイカーたちが荒野に入ると、イモータン・ジョー(Immortan Joe)(ラッキー・ヒューム(Lachy Hulme)演じる)が統率する城塞に遭遇します。これが2人の暴君の壮絶な戦いにつながり、テイラー・ジョイ演じる勇敢なフュリオサが故郷へ帰るための壮大な冒険が始まります。
『マッドマックス:フュリオサ』は5月15日にカンヌ映画祭で世界初公開され、その後ワーナー・ブラザースによる大ヒット作の世界展開の一環として5月24日にイギリスの映画館で公開され、日本では5月31日から公開されています。
40歳のクリス・ヘムズワースは、母国オーストラリアのバイロンベイ(Byron Bay)にある3000万ドルの広大な邸宅に、妻でスペイン人女優のエルサ・パタキー(Elsa Pataky)(『ワイルド・スピード MEGA MAX』(原題:Fast Five)、『ワイルド・スピード EURO MISSION』(原題:Fast & Furious 6))と暮らしています。2人には、5月11日に12歳になった娘インディア(India)と、10歳の双子の息子トリスタン(Tristan)とサーシャ(Sasha)の3人の子供がいます。
━━オーストラリアで育ち、オリジナルの『マッドマックス』映画のファンだったあなたにとって、ついにジョージ・ミラー監督と一緒に仕事ができたことは、どれほど特別なことでしたか?
私にとって特別な瞬間でした。最初の『マッドマックス』が撮影されたブロークンヒル(Broken Hill)でジョージと話したこと、そして、私たちは、ジョージが45年前に『マッドマックス』のラッシュを見たのと同じ映画館で『トップガン』(原題:Top Gun)( 続編)を見に行きました。
私はあの映画が大好きでした。俳優の私にとっても、多くのオーストラリア人にとっても、メル・ギブソン(Mel Gibson)の『マッドマックス』出演はハリウッドへの架け橋でした。あの世界の一部になれるのは夢でした。
━━『マッドマックス:フュリオサ』の撮影現場でジョージ・ミラー監督と一緒に仕事をした経験はどんな感じでしたか?
ジョージは、昔ながらの強靭さを持っています。彼は、異端者や扇動者だった昔の監督の時代を彷彿とさせます。こういうタイプの人とは、手を出してはいけません。その一例は、彼が俳優を多く雇ったことです…。彼らの経歴は実に多彩です。元犯罪者やヘルズ・エンジェルス(Hells Angels)のメンバーもいました。なぜなら、彼は彼らの人生の物語に興味があるからです。
彼は時間をかけて彼らにインタビューし、台本からセリフを読んでもらう代わりに、彼らの人生について語ってもらうように頼みました。そして、長い撮影の間、どんなことがあっても俳優たちが彼のためにそこにいてくれたとき、彼はそのレベルの関心と敬意を示したことで報われました。
雨が降っていたり、とても暑かったり、撮影現場でどんな困難があっても、彼らは全員、ジョージに従って戦いに行く準備ができていました。どんなに状況が悪くても、彼らはジョージのために現れたのです。
Words © Jan Janssen / WENN
Photos © Nicky Nelson / WENN
後編へ続く・・・。