その間、妻が苦しむ姿を見ても何もできない自分の無力さをヒシヒシと感じたというケヴィン(45歳)は、妻の分娩に立ち会った感動を次のように語ってくれた。
「何が起きているのか、はっきりと伝えられていない状況の中で不安が募り、分からないという状態がさらに不安を募らせるという結果になってしまったんだ。合併症を起こしていたら、事態はさらに悪化していたかもしれないし、そうした難産の中でブリアンヌの横にずっと付き添っている間、自分の無力さをより深く感じさせられたよ。どんなに鎮静剤や薬を飲んでも、彼女のあの辛そうな表情を見ているだけで、そしてそれを耐える顔を見るだけで女性に対する畏敬の念が湧いてきたんだ。」
元エヴァートンFC(Everton)のサッカー選手であるケヴィンは、現在カナダの民放放送TSNでサッカー解説者を務めている。そして、娘の厳しい状況に苦悩を隠し切れない彼は、「まだ生まれたばかりの赤ちゃんが酸素マスクを着けて、呼吸しやすいように喉にチューブを入れている姿を見るのは本当に辛かったよ。」と自身の心境を語り、まだトラウマから抜け出せない思いを抱えているブリアンヌ(41歳)もまた、自身の心境について次のようにコメントしている。
「今でもケヴィンに言い続けているのだけれど、もし自然分娩ができるようならもちろんその方法を取るけれど、でもどちらにしても出産は女性にとって命懸けの挑戦なの。特に私の場合はオリヴィアを帝王切開で産んだばかりで、そのときの状態がまだ瞼の裏に焼き付いて離れない状態なの。とにかく、回復にはかなりの時間が掛かるし、出産後6週間から8週間経過した今でも正直言って横になって寝ることができない状態なの。でも、今回はドクターの的確なアドバイスと薬の処方が功を奏して、出産後の回復はオリヴィア(Olivia)(次女:生後15ヶ月)のときよりもはるかに早くて順調なの。それに、他にも幼い育ち盛りの子供を抱えていると、たとえばオリヴィアは生後10ヶ月から走り回っているし、出産後まだそんなに日にちが経っていないからといって、何もしないで動かないというわけにはいかないの。」
しかし、いかに忍耐強いブリアンヌとはいえ、ドクターから既に出産を禁じられている彼女は、その忠告に対して次のような感想を述べている。
「ドクターは私の顔を見るたびに、“お願いだからもう帝王切開手術は避けてちょうだい!”と言っているわ。3回の出産で体には傷があるし、できる限り元通りの体に戻るよう努めているけれど、今回のキーヴィーの場合、回復までにはこれまで以上に時間が掛かっていると言っているわ。」
では、果たして2人はこのドクターの忠告をどのように受け取っているのであろう? ブリアンヌいわく「既に一時停止ボタンは押しているし、3人の女の子たちがいるだけで十分幸せよ。」
退院後、現在自宅に戻って生活しているブリアンヌは自分の周囲で起きた状況を哲学的に受け止め、次のようなコメントを残している。
「子供たちを見ていると、様々な面で恵まれていると感じることができるの。もちろん、子育てにストレスはつきものだけれど、でも子供たち3人が健やかに育ってくれさえすれば、そんなことはどちらでも構わないわ。」
Words© Gemma McCartney
Photos© Jennifer Kamminga / OK! Magazine
Vol.3へ続く・・・。