今年の5月24日に記念すべき80歳の誕生日を迎えたボブ・ディラン(Bob Dylan)! そこで、OK! は、究極のソングライターとして輝かしい功績を残す天才をお祝いしたい。
ボブ・ディランは、音楽界の歴史が生んだ偉大なソングライターの1人と言っても過言ではない!
今から約60年前にヒットした懐かしい曲『風に吹かれて』(Blowin’ in the Wind)のサウンドを始めて耳にして以来、ボブは全世界で通算1億2500万(125Million)枚以上のアルバムを売り上げ、10回のグラミー賞受賞、さらにノーベル文学賞受賞と輝かしい功績を残している。
そして80歳を超え、いよいよ90回目の誕生日もそう遠くはないというボブは、近年耳にする数多くの音楽を、さらに時代に乗って進化させ、たゆまぬ努力を積み重ねながら音楽活動を続けている。
本名をロバート・アレン・ジマーマン(Robert Allen Zimmerman)として、1941年5月24日、ミネソタ州、ダルース(Duluth)で生を受けたボブは、血の繋がりを重んじるユダヤ人社会の中で育ち、高校ではコピーバンドで演奏活動を楽しんでいる。
また、高校卒業後、ミネソタ州立大学に進学したボブは、大学在学中自らを“ボブ・ディラン”と命名し、フォークミュージックの演奏を繰り広げているが、ボブはその理由について2014年のインタビューの中で次のようなコメントを残している。
「ここは自由の国! だから自分が好きな名前を自分で付けることも自由だと思うんだ。」
結局ボブは大学を1年で中退し、ニューヨークに渡りグリニッジ・ヴィレッジ(Greenwich Village)界隈にあるクラブで演奏活動を始めている。そして、1961年にはコロンビアレコードと契約を交わし、翌年には自身の名を冠するデビューアルバムを発表している。
しかし、“ボブ・ディラン”の名が世界中の注目を集めることになったのは彼の2作目のスタジオ・アルバム『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』(The Freewheelin’ Bob Dylan)で、『風に吹かれて』や『はげしい雨が降る』(Hard Rain’s A-Gonna Fall)を含む数多くの曲は、ちょうどその頃、世間に湧き上がっていた「公民権運動」や「反戦運動」に対する彼の考えを強く反映した曲と見なされていた。
ボブは否定しているが、彼のニックネームは、どうやら“世代を代表する声”として受け取られていたようだ。そして1965年に発表したシングルアルバム『ライク・ア・ローリングストーン』(Like A Rolling Stone)を機に、彼はフォークシンガーからロックスターへと変身することになる。
いわゆる“裕福なアメリカ社交界”が落ち目になっていく時代を背景に、画期的なサウンドミックスと、「ハウ・ダズ・イット・フィール?(How does it feel?)」という謎めいたリフレインを耳にして、根底から魂を奪われたような感激を受けたという、若かりし頃のブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)は、その当時の様子について次のようなコメントを残している。
「ちょうどWMCA(ニューヨークのラジオステーション)の放送を聞きながら母の運転する車に乗っているとき、ラジオから流れてくる“固く閉ざされた心の扉を解放するような曲”に、まるでドラムで頭をぶち抜かれたような感動を覚えたんだ。」
そして、数多くの音楽評論家たちから“時代を超えた名曲”と絶賛されたこの曲に、シンガーソングラーターのフランク・ザッパ(Frank Zappa)もまた「あれ以上画期的で素晴らしい曲は、そうそう出てこないと思っているんだ。あのような素晴らしい曲を耳にしたら、もうミュージックビジネスから身を引いてしまいたいような気がしてしまったよ。」というコメントを残している。
Words © Anna Matheson
Photos © Mirrorpix
後編へ続く・・・。