トム・クルーズ来日! 

渾身の新作映画『DIGGER/ディガー』を熱く語る!!

完璧なヒーロー像もアクションも封印して挑戦したトム・クルーズ(Tom Cruise)の驚愕の変貌ぶりと、独創的な世界観を持つ話題作『DIGGER/ディガー』(原題:DIGGER)が10月9日に日本で公開されて、反響を呼んでいます。

この作品でトムが怪演したのは、アメリカの石油会社CEOディガー・ロックウェルという大富豪で、傲慢な権力者。欲深く採掘を続けたために地球滅亡の危機を招いてしまい、大統領からその尻ぬぐいを命じられますが…、まさにその展開は予測不能! 強烈な風刺と毒気、カオスに満ちている前代未聞のエンターテイメントに仕上がっています。

映画公開を目前に控えた10月5日、トムは本作のアレハンドロ・G・イニャリトゥ(Alejandro Gonzalez Inarritu)監督と2人で来日し、都内で記者会見に臨みました。

通算26回目となる来日を果たしたトム。64歳という年齢が信じられない若さを保ち、演じたキャラクターがまったくの別人にしか思えません。拍手に包まれて登檀するや、イニャリトゥ監督とフレンドリーに肩を組んで、私たち日本のメディアに挨拶をしました。

「尊敬する監督と一緒に日本に来られて、本当に光栄です。彼の作品は全部見ていますし、観るたびに新しいものが発見できるので、何度も見たくなるんです。ずっと一緒に仕事したいと思っていたので、それが実現できてとてもうれしいです。」

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(原題:Birdman or 〔Unexpected Virtue of Ignorance〕)、『レヴェナント 蘇えりし者』(原題:The Revenant)でアカデミー賞監督賞を2年連続で受賞し、その研ぎ澄まされた才能が高く評価されているメキシコ出身のイニャリトゥ監督も、今作でトムとの映画作りを望んでいました。トムは監督とともにプロデューサーにも名を連ね、満を持して2人のタッグが実現したのです。

トムは最初に監督が書いた脚本を読んで、「こんな作品、見たことがない。いったいどうやって思いついたんだ⁉」と驚いたことを明かしつつ、出演した理由を語りました。

「私はまず脚本を読んで、監督のアイディアや夢、何を表現したいのかを知り、その作品で自分がどう貢献できるのかを見つけていきます。アレハンドロは素晴らしいフィルムメイカーで、唯一無二の存在です。そんな彼の脚本に魅了されました。完成したこの作品は、すべての部分で思慮深く、慎重に丁寧に演出され、作り上げられているのです。」

監督は9年前に本作の構想を思いつき、脚本を執筆したときに感じたことを語ります。

「当時の私たちは、現実から切り離され始めているような感覚を抱いていました。私たちが実際に経験し目にしているものが、現実として語られていることから少しずつ乖離している。そして人々が、それぞれ異なる現実を持ち始めていくと感じたのです。言葉には、現実を魔法のように変えてしまう力があります。優れたストーリーテラーや、良くも悪くも権力を持つ人たちは、この事実を認識しています。言葉は人々を鼓舞し、現実を知るための架け橋となりますが、同時に現実の認識を破壊する武器にもなります。それが、ディガーという人物の物語の始まりでした。」

そんな本作の魅力について、トムが続けます。

「この映画の構造は、今まで見たことがないものになっているのです。見ると、どのように時間や空間を使って構成されているかがわかると思います。そして奥が深くて、見れば見るほど新しい層が見えてきます。どのシーンを見ても非常に高いレベルの芸術性があって、奥行きを感じさせる映像、冒頭の音楽に動物や鳥の鳴き声が使われていることなど、すべて細部までこだわっています。」

撮影の数カ月前からトムと一緒に数多くのリハーサルを行って、映画のトーンを探していったという監督は、「風刺というのは、とても難しいんです。やりすぎても、リアルになりすぎても面白くなくなります。そのバランスと匙加減が大切でした。」と言います。

トムはディガーという人物の風貌を完成させるまで、試行錯誤を重ねました。特殊メイクに6時間も費やしたトムは、リハーサルにもほぼ毎回、そのメイクを施したディガーの姿で参加し、話し方や歩き方を体得していったことを、監督は話してくれました。

「リハーサルのセットで私たちはトムではなく、ディガーがいるという感覚になっていました。それにすっかり慣れてしまったある日、彼がトムの姿のままで現れたら、“うわっ!トム・クルーズがいる!!”って、皆でざわついたんですよ(笑)。」

そんな本作の見どころの一つとなるのが、約10分間にわたるディガーのスピーチ。ワンカットで長回し撮影されたこのシーンについて、「今まで出演した映画の中で一番長いセリフでした。私は4回、カメラの前で演じましたが、“もう1回やりたい!”と思ってしまいました。演じていて、本当に楽しかったんです。」と振り返るトム。この役を演じ切るまでに40年かかったという彼が到達した、まさに新境地といえるシーンに注目です。

「現場ではアレハンドロと一緒にアイディアを出し合って彼の考え方や文化を知り、それらを吸収していく感覚を覚えました。それはとても素晴らしい経験でした。毎日、彼と一緒に仕事をすることで、彼が何を作り上げていくのかを体感することができたのです。彼が指揮者で私がジャズの演奏者のように、共に映像表現を探求していったと思っています。そしてこの作品を作り上げていく作業を、心の底から楽しむことができました。」

本作の構想から9年経った今、世界は大きく変わりました。環境破壊が招く大規模災害、横暴な権力者、分断された人々…。私たちが目にしている現実そのものが映画なのでは?と思うほど急激な時代の変化の中で監督は、この映画で表現するのに必要な要素を模索していったそうです。

「9年前には、人間が現実から目を背けた結果として起きた大惨事を風刺的に描こうとしました。しかし突然、現実が追いつき、今は追い越してしまったと感じています。架空の物語として描いたことが恐ろしいほどの速さで実際に起こり始めて、私たちはフィクションでなく、まるでドキュメンタリーを作っているような状況になってしまったのです。今の世界はあまりにも不条理で、権力者たちのパフォーマンスは風刺劇そのものです。私たちは物語を語るために時間と空間を使って、現実から少し距離を置く必要がありました。こうすることで過酷な現実に生きている人々と自分自身を理解し、笑い飛ばそうと思ったのです。」

そんな監督が描く作品世界をディガーの言動で伝えるべく、これまでと真逆の役に果敢に挑戦したトム。「アレハンドロとの仕事は、まるで崖から一緒に2人で飛び降りるような感覚でした。スリリングで楽しくて、素晴らしい体験でした。」と振り返りつつ、本作への想いを語ります。

「映画賞や興行収入も結果の一つですが、それが映画を作る目的ではありません。私たちは、観客の皆さんのために映画を作っているのです。私は、この作品が時代を超えて生き続け、人間を映し出すものになることを願っています。今この時代に、こういう映画を作ることができたのは、本当に特別なことです。日本の皆さんにも早く見ていただきたいですし、どんな反応が返ってくるのか、今から楽しみにしています。」

監督も「トムのファンの方々をはじめ多くの人々、特に若い世代の人たちに見て考えてほしいと思います。この映画が、対話を始めるきっかけになることを願っています。」と、私たちへのメッセージを残してくれました。

『DIGGER/ディガー』 原題:DIGGER 

10月9日(金)より全国公開中

配給:東和ピクチャーズ・東宝

© 2026 WBEI and Legendary

公式サイト:https://digger-movie.jp/

PHOTO:伊井龍生

TEXT:丸山けいこ

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