2020年のロックダウンの直前に出会ったオリバー・ファーンワース(Oliver Farnworth)(現在の人生のパートナーで元『コロネーション・ストリート』(Coronation Street:イギリスの人気テレビドラマのスター)は、サマンサに“もっと自分の心を開くように”と勧めてくれた人で、そんなオリバーについてサマンサは次のように語っている。
「彼は私の中にある“自分の弱さを人に見せたくないと”という性格をよく知っている人で、実は私は彼がそれを見抜いていること自体をあまり心地良く思っていなかったの。でも、彼は“いつも自分の弱さを見せずに、強がりを言い続ける必要はないと思うよ。”と常に優しく語り掛けてくれたわ。それに対して、私はいつも“大丈夫、大丈夫”と答え、彼の忠告は無視し続けていたの。」
自分が感情を解き放ったのは、救助犬のローラ(Lola)の死に直面したときだけだったと打ち明けるサマンサは、そのことがきっかけで、自分の中にある何かが突然壊れてしまったような気がするわ。でも、それは、私にとって自分を知るために必要な必然的な出来事だったと思っているの。」
そんなサマンサに対してオリバーもまた次のようなコメントを送っている。
「サムは恐らく僕が知っている人たちの中でも、最も強い人間の1人だと思っているんだ。でもそれに潜在的に伴ってくるのは、自分のことを考えたり、自分を最優先したりしないということで、彼女もまたご多分に漏れず、いつも他の人のことばかり考えて、時々自分自身を忘れてしまうんだ。しばらく静かにする必要があるなら、それはそれでよいし、その沈黙もいつでも破ることができる。泣きたいなら泣きたいときに好きなだけ泣くがよい。僕自身はそうした感情はより大きなプロセスの一部でだと思っているから。」
サマンサにがんの診断が下されて以来、オリバーが彼女の心の支えであることは撮影中の2人の姿を見ても一目瞭然! そして、そんな2人の関係についてサマンサは次のようなコメントを残している。
「私たちの絆はソウルメイトのようなものなの。彼の前で自分の弱い部分をさらけ出すことは、今でも時々難しいと感じているけれど、でもオリバーは信じられないほど忍耐強く、本当に優しい人なの。そして泣いたり怖がったりせず、すべてが大丈夫であるふりをしようとし続ける私をあるがままに受け止め、ただ忍耐強く優しく包み込んでくれるの。毎朝目を覚ますと、新鮮なターメリックとジンジャーの飲み物を用意してくれたりして、私が不自由な思いをしないようにいつもそっと気遣ってくれる。そこには偏見も何もなく、ただ私を静かに包んでくれる愛があると感じているわ。」
サマンサはまた、過酷な化学療法の後遺症による自身の外見の変化を気にして、オリバーはきっと自分から離れていくに違いないとしばしば感じていたという。そうした自身の状況に対し、サマンサは次のような率直なコメントを残している。
「乳がんは“女性が女性らしさを保とう”とすることへの非常に残忍な攻撃だと思うの。胸や髪を含めて自分が自分を女性と感じ、女性の魅力を象徴するものを失うのはとても残酷なこと! 馬鹿げたことだとは思っても、つい“私はあなたに自分の醜い容姿を見せたくないし、あなたに不快な思いをさせるのも嫌なの!それに、なぜ病人と一緒にいたいと思ったりするの?私はこれ以上あなたにこんなに嫌なことを経験してほしいとは思っていないわ。”といったような感情的な言葉を投げてしまう私がいたことは確かよ! だって最初の頃は、どの位病状が悪化するのか自分でもよく分かっていなかったし!」
でも、そんな私の投げやりな言葉に彼は“今君と一緒にいたいと思うから、僕は自分の意思でここにいるんだ。それに僕はあなたの髪のことなど一切気にしていないし、そんなことに関係なくあなたは僕にとって、いつまでも美しい女性なんだ!“と答えてくれたの。そんな彼の言葉に私は一瞬息をのんで、とても感慨深いものを感じたの。ただただ私のために無償の愛を捧げてくれる人がいることに感謝する自分がいるなんて、想像もしていなかったことだったわ。」
そして彼はほほ笑みを称えながら、サマンサへの思いを次のような言葉で綴ってくれた。
「僕は人間が大好きなんです。そしてありのままの彼女を愛しているんです。何がどうあろうと彼女は僕にとってゴージャスな女性なんです。」
ところで、がん症状を伝えられた後、最も困難なことの一つは、その事実を子供たち(以前の結婚で設けた2人の子供たち、ベンジャミン(Benjamin)(21歳)とリリー(Lily)(17歳))に伝えることだったと語るサマンサは、その状況について次のようにコメントしている。
「私たちは常にお互いを理解し合える親子関係を築いてきたと自負しているの。今までも彼らに隠し事なく全てを話すようにしてきたし、私に何か問題があったら、きっと彼らはすぐにそれを察知してしまう! 超音波検査を受けて診察室から出てきた私に、“ちょっと様子が違うけれど、どうしたの?”とリリーが聞いてきたことがあったの。“今彼女に伝えるべきか、後にすべきか”と一瞬迷ったけれど、彼女に嘘をつきたくなかったので、“何が起きたのか、はっきりと分かった段階で知らせるようにするわね。”と言って、結局生検検査の結果が出るまで待つことにしたわ。
でも、子供の目にパニックと恐怖が見えた瞬間、私が母親としてするべきことは、できる限り子供たちに心配を与えないことだと感じたの。だから私はリリーに“今はまだはっきりとしたことが分からないし、色々と詮索しても始まらないから、結果が出たときに対処するようにしましょう。”と答えることにしたわ。」
「こうした状況は私だけではなく、たくさんの人たちに起こり得ることであり、その対処の方法にもさまざまな形があると思うの。もちろん、辛い話もあり、難しい話もあるけれど、そこには様々なストーリーがあって、私たちは新しい局面が起きるたびに、それぞれ対応する必要があるのではないかしら?」
「もちろん彼らは心配している様子だったけれど、私はそうした感情を引きずることは好きではないので、彼らに恐れを感じさせないように一生懸命努力したわ。だって私が怖がっているように見えたら、その恐怖が彼らにも伝わると思ったから!」
WORDS © Gemma McCartney / OK! Magazine
PHOTOS © Michelle George / OK! Magazine
Vol.3へ続く・・・。