OK! インタビュー
アンジェリーナ・ジョリー
“初の映画監督として”
“女優として”
“6人の子供たちの母として”
“アンジェリーナ・ジョリーとして”
世界で最も美しく、最も写真を撮られる事の多い女性の1人、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)。アカデミー賞(Academy Awards)受賞歴も華々しいキャリアとその容姿は、被写体として常にカメラの前に立つに相応しい。ところがボスニア紛争下のロマンスを題材にしたアンジェリーナの最新作「原題:イン・ザ・ランド・オブ・ブラッド・アンド・ハニー(In the Land of Blood and Honey)」では、ファインダーの後ろに立ち監督としてのデビューを果たした。
本作では脚本も手掛けたアンジェリーナは、6人の子どもの母親でもあり、俳優ブラッド・ピット(Brad Pitt)とも交際を続けている。
---俳優業に加えて初の監督業。俳優じゃない自分の人生を想像することはありますか?
いいえ、想像しないわ。きっと母親にはなっていて、母業を満喫していたと思うわ。でも旅行は変わらず好きだったと思うの。じっとしているのが苦手だから、他の事もしていたと思うし、もしかしたらトラブルに巻き込まれていたかもしれない。この仕事のおかげで、意志を強く持った、まともな人でいられるわ。
---お父様(ジョン・ヴォイト(Jon Voight))が俳優として活躍し、それを見て育った生い立ちから、それ以外の道はないと思っていましたか?
多分、アーティストや俳優を親に持つと、その仕事に就くか、なりたくないと思うかの両極端だと思うの。私の子どもには“絶対なりたくない”と思わないといいんだけど。
---強制はしないと?
子供たちは、何になりたいか自分で決めさせるから、しようがないわね。
どの子もとても個性が強くて、とてもクリエイティブなの。これからがきっと大変だわ(笑) 
---お子さんたちに芸術的才能はありそうですか?
いいえ。子供たちがどんな職業に就いても、彼らが幸せなら、もちろん、それを喜んであげたいわ。成功してキャリアを積むことはとても大変な事だと私が分かっているから、子供が選んだ道が例え平坦な道でなくても、せめて幸せな人生を送ってほしいと願うだけよ。
---監督に挑戦したのはそのライフ・プランの為でしょうか? それとも自分が出来ると証明する為のスキルを身に付ける為でしょうか?
監督業には興味もなかったし、やるつもりもなかったわ。そもそもは、時間が空いた時にクリエイティブな試みとしてペンを執ったのがキッカケ。私のデスクの上に置いていたその脚本をブラッドが見つけて、とても気に入ってくれて、気が付いたら監督になっていたの。監督業は夢ではなかったけど、出来る事の1つだって、そのおかげで分かったわ。
---自分のキャリアを振り返って、自分が蔑にされたと感じた時はありましたか?
そうね、そんな時期もあったかもね。でもそれは、誰にでもあることだし、逆にその時に“自分はもっと上手くなれる、これだけじゃ終わらせない”って他人にも自分にも見せつけてあげようという気持ちを持つ事が大切だと思うの。私も年を重ねて、20歳の頃よりは、幅のある人間になったんじゃないかと思うわ。この先もさらに引き出しを増やしていきたいわ。
---今のところ問題なし?
そうね。今のところ素晴らしい経験よ。
---演じるより時間のかかるプロセスですが、大丈夫でしたか?
確かに時間はかかるけど、大丈夫だったわ。映画「ツーリスト(原題:The Tourist)」のPR活動で一時中断したけど。
---この作品の監督をする時や、俳優としてキャラクターを創り上げる時など、ブラッドとお互いにアドバイスをしたりしますか?
ええ、時々は。たまに相手を驚かせる事もあるけれど、悩んだり、何かに熱心に取り組んだりする時は、もちろんアドバイスを貰うわ。私が手掛ける事柄に彼がどんな意見を持っているか、とても興味があるから、いつも最初に聞くわ。
---本作を撮影したハンガリーでの滞在はどんな経験でしたか? 苦労しましたか?
最高の経験をさせてもらったわ。地元の俳優を起用して撮影したのだけれど、みんな素晴らしい実力の人達ばかり。実は、2本の映画を撮っているも同然で、最初は彼らの母語で撮影して、その後英語で撮影したの。彼らはどちらの言語でも素晴らしい演技をしてくれたわ。それだけでも感動的よ。ブダペストも素晴らしい街だし、ボスニアもとても美しい国よ。残念ながら、そういう印象を持つ人は少ないだろうけれど。
---あなたの容姿が美しすぎるから、その第一印象で自分がまともに受け止めてもらえてないと感じる事はありますか?
さっきも言ったように、年齢を重ねて、自分自身をありのまま受け入れられるようになったわ。歳を取れば取るほど鏡に写る私は、母にそっくりになっていくし。私の娘達も、私に似ている所もあって、それは嬉しく思うわ。でも朝から晩まで、容姿の事ばかり気にしていないわよ。私は毎日、新しい知識を得て、より良い人間になろうと努力して、自分を高め、それを持続させる気持ちを保てればそれが良いと思うの。
---監督に現場での美しさは問われませんが女優としての準備は大変ですか?
女性になる為にはとても時間がかかるわ(笑)。ヘアーメイクの時は、とにかく忍耐強く我慢するわ。「ツーリスト」では、スタイルがとても強調されていたので、映画「ソルト(原題:Salt)」のように黒いT-シャツで駆け回る訳にもいかなかったの。靴は、バックに合ってないといけないし、コーディネートが重要で、ネイルも毎日塗り直し。最初はとても楽しかったけれど、数週間後にはスタイリストさんが出ていくと“ホッ”としていたわ。手のかかる女性にはなれないわね、続かないもの。
ええ。私の私生活では髪を梳くのも稀よ。子育てしているから出来る限り手間がかからないようにしているわ。起きたら、時間をかけずにパッと用意してすぐ何でもできるようにしているの。 
---撮影時以外はその真逆のタイプですか?
---外出すれば写真を取られるのに、それに惑わされないのはなぜでしょうか? 何処へ行っても皆見るでしょう・・・
万が一のために、サングラスの予備をカバンに入れているの(笑)。でもそれに頼ってばかりの人生を送らないように、気を付けているわ。本当に気が狂いそうになるから。こういうPRイベントとかは、スケジュールが決まっているから、その時はヘアーメイクをやってもらって、きちんとした服を着るけれど、それ以外ではリラックスする事を心がけているわ。
---普段は“デニム・ガール”なのでしょうか?
いいえ。実は、ジーパンは1枚も持っていないの。実は変な告白すると(笑)、子育てを始めた頃に、“これだけの子供を育てていて、ジーンズとTシャツを持っていたら、そればっかり着ちゃうわ”ってハッとしたの。だから、毎日そこに落ち入らないようにするために、無理矢理手放したわ。
---あなたにとっての美しい女性とは?
人がその人らしくありのままでいると、自分に正直に生きているオーラが出てくると思うの。逆に自分自身が居心地悪くても、うわべだけの美しさで“美しい”って誤解される事もあるわ。でも、居心地が良いと素直に感じている人は、ありのまま生き、望み通りの生活を送り、心から思ったことを話す。その方が、人としても魅力的だし、裏表がなく素直だから凛とした女性としての強さと美しさを兼ね備えていると思うわ。
---それはあなたですね(笑)
なれるよう 努力しています。
---そんな時、子どもたちには何と?
いつか行ける時間を作ろうね、と言って家に一旦戻り、抜け出したりするわ。たまに、玄関から抜け出した方が楽な時があるのよ、みんなが裏口だけを見張っている時があるから(笑)
---“ブランジェリーナ(Brangelina)”という名前はお好きですか?
いいえ。
---正直な所、どれだけ影響されますか? 世界で最も憧れられている女性のあなたに、どの女の子も、女の子になりたい男の子も目標にしています。
ありがたいと思っているわ(笑)
---どういう時に自分らしくある事が難しいと感じますか?
ちょうど昨日、そんな事があったの。子供たちと水族館から帰る途中、シャンゼリゼ通りが美しくて、子供たちが露店で買い物したいと言っていたのだけど、20人位が後から付いてきていて、本当に無理だったのよね。
---数ヶ月前にお父様にインタビューさせてもらった時、アンジーが中東情勢やそこから子どもを養子に取る事に興味があるらしい、と話していました。本当でしょうか?
中東にはもちろん興味があるし、何度も滞在したわ。でもイスラム国から養子を取る事が合法的に無理だったはずよ。今は、SOS子供の村という育親と孤児を引き合わせるという素晴らしいプログラムを通して、ヨルダンの子供を自国に置いたままスポンサーになったりしているの。7人の母親が村を作っていて、それぞれに孤児が預けられ10代過ぎるまで我が子のように育てるの。その後もそこで大きくなった子供たちが育親の元で一緒に他の子と自活できる施設とかもあるの。中東ではこのSOSプログラムがベストだと思って、そこを通じて、孤児のサポートをしているわ。
---今は手一杯ですか?
現時点ではそうね、しかもまだ明確に先が見えてないの。人が妊娠したいと思うキッカケと同じね、きっと。ハッキリ“欲しい”って、思えるタイミングがあると思うのだけど、今はその話題にもならないわ。
---養子をもう1人受け入れたいと思っていますか?
タイミングが合えばいつでも受け入れたいけど、今はその時期じゃないわ。
---俳優業と6人の母親という仕事を一体どのように両立しているのでしょうか?
実態以上に私が働いているように見えているかもしれないけど、幸い私の仕事は、2ヶ月働けば、5ヶ月休む事も可能なの。ほとんどのワーキング・マザーは、私よりも仕事との両立がずっとハードだし、勤務時間も長いわ。
---では、オフの日は、本当にオフなのでしょうか? ええ、本当に休みよ。
---子供たちにとって、どのような“お母さん”なのでしょうか?
いい母親だと子供たちが思っていてくれたら嬉しいわ。私の母(マルシェリーニ・ベルトラン(Marcheline Bertrand))は、最高のママだったから。色々と教えてくれたし、私の親友だったわ。だから私も自分の子供の良い友達でいたいし、子供を愛しているし、正直に話し、対等に接しているし、子供たちが自分らしくいられるようにサポートしているつもりよ。でも毎日、もっといいお母さんになれるように勉強しているわ。子供にはいつも“良い親とは”という事を教わっているの。子供の声に耳を傾け、何を要求しているか考えてあげて、毎日試行錯誤しながらだけど。親業に正解は1つじゃないし、本を読んでも答えは見つからないわ。自分の子供を見て、個々に適した最良の選択をしてあげなきゃいけないと思っているわ。
ええ。まだまだ小さいし、タイムアウトもあるわ(笑) それぞれが怒ったり、お互い喧嘩したりもするけど、全員が最高の子供たちで私達は誇りに思っているわ。
---反抗しますか? どんな子も反抗期はあると思いますが・・・。
---ヴァルポリチェッラ(Valpolicella)に家を購入したって本当でしょうか?
だったら嬉しい(笑) 最高だわ。
---みんなが話題にしていますよ。
そんな話、初めて聞いたわ。でも素敵。(笑) ビックリしたわ。
---アンジェリーナにとってのパリもしくはフランスとは? 一年の半分くらいは、パリで生活していますか? 街は気に入っていますか?
撮影の合間にしかいられないから、残念ながら数ヶ月程度しか滞在出来ていないわ。仕事の関係上、世界各地に滞在しているけど、子供たちには、フランス語を習得させたいって決めたから、時間が許す限りパリに居たいわ。今は上手い下手に差があるけれど・・・。
---1番上手なのは?
マドックス(Maddox)よ。音読ではいつも“A”を貰ってくるわ。フランス語音読よ。私だったら無理だから、すごいって思うわ(笑) 私の発音は酷いもの。
---その文化を育児に取り入れたかったのはなぜでしょうか?
私達、フランスの全てが大好きなの、ロマンチックだし、美しいし、文学も、音楽も、ライフスタイルも素晴らしいって思うの。特に南仏では、家族と過ごす時間を大切にしていて、それに感銘を受けたわ。また、ヨーロッパに棲んでいると、旅行先として気に入っているアフリカやアジアにも出やすい。アメリカだと、どうしても遠くて。
---フランスとアメリカで日常的な生活は送れますか? 違いはありますか?
ゴシップは一切読まないし、聞き流すから、どの国でどれだけ注目されているのか実態はわからないけど、フランスの方が、少し注目度は薄い気がするわ。
---でも実際に普通の日常生活を送るのは可能でしょうか?
ええ、可能よ。真面目な新聞を読んで、ネットサーフィンしなければね(笑) CFR.org(外交問題評議会/Council on Foreign Relations)に私達のゴシップネタは載っていないし(笑)。それだけ読んで、広報係もいないし、エージェントもいないし、人にも、知り合いにも噂話を聞かなければ大丈夫よ。
---ご近所付き合いの出来るご近所さんはいますか?
ええ、ご近所付き合い出来る人達がいるわ。とてもありがたい存在よ。
---キャリアと家庭の両立は正直大変でしょうか?
ブラッドと私は、交代で仕事を入れているの。今晩子供たちを連れてのフライトがあるから、今頃荷造りしてくれていると思うわ。交替制でしか上手く回せる方法がなかったの。でも彼は素晴らしい父親だから、パートナーとしてとても感謝しているわ。
---セレブリテクスト(Celebritext)/ドーン・ウォーターマン(Dawn Waterman)/