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  OK! インタビュー☆ジョージ・クルーニー☆監督作品について熱く語る (2011年10月号特集)

  2011.10.01

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OK! インタビュー

George Clooney

 

 

ジョージ・クルーニー監督作品

「原題:ジ・イデス・オブ・マーチ(The Ides of March)」について熱く語る!

 

 

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インタビュアー: こんにちは


ジョージ・クルーニー: あと1つだけの質問の時間ならあると思うよ!(笑)

 

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---監督の経験は如何でしたか? 又、映画に関わる際、監督あるいは俳優としてどちらの仕事が楽しいですか?

 

実は、俳優としての自分を監督するのが何よりも楽しいんだ!(笑) 今まで監督を経験した人達と話をしても、皆が異口同音に監督業は、独創的で、一味違った魅力があると言っているし、監督として、映画制作に関わる事は、本当に興味深くて楽しい作業だと思うよ。でも周りの皆が言うように、それ程型破りで大変な事ではないと思うし、特に素晴らしい役者と一緒に仕事をする時は将に監督冥利に尽きるね。とにかく撮影中は、とても愉しい事が山ほどあって監督業って本当に最高だと実感しているんだ。

 

 

 

 

 

George Clooney4.jpg---将来“アメリカ合衆国大統領”になって政治的な仕事に関わりたいと思った事はありますか? それからこの映画では、政治的な汚い駆け引きのシーンが数多く見られますが、大統領に成る為にはモラルに反する事をしなければならないのでしょうか? 例えば、今回ウサマ・ビン・ラディン(Osama bin Laden)を殺害したケースでもバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、かなり厳しい決断を迫られたのではないかと思いますが・・・。

それから、映画のタイトルを「原題:ジ・イデス・オブ・マーチ(The Ides of March)」と決めた理由は特に何かあるのでしょうか?

 

3つの質問があったけれど、1つずつ答える事にするね。まず、「ジ・イデス・オブ・マーチ」はローマン・カレンダーで“3月15日”と言う意味で、映画のテーマがどこかシェークスピア風に思えたからなんだ。そして我々制作者の意図を押し付けず、誰が“カシウス”で誰が“ブルータス”や“ジュリアス・シーザー”なのかはそれぞれ観客に任せようと言うのが作り手側の考え!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

George Clooney11.jpgそれから“大統領になりたいと思うか?”と言う質問に対しては、この激動の時代に現職の大統領以上に、自信と誇り、そして情熱を持って対処出来るような適切な人材は他にはいないと思うよ。それに僕は素晴らしい仲間に恵まれて現在の仕事を楽しんでいるし、大領領になりたいなんて思った事は一度もないよ!

 

 

 

 

 ---どのようにしてこのような素晴らしい出演者達を説得したのですか?

 

自分が出演を依頼したいと思っている何人かの俳優達の写真を持っていて、まずは彼らに出演を依頼したんだ。でも依頼というよりはもしかしたら、強要と言った方が良いかな?(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ryan Gosling1.jpgとにかく皆が惚れこむような素晴らしい脚本があって、その作品に出演者達が引き寄せられる様に集まったと言う感じで、僕自身もどうしてこんなに素晴らしいキャスティングが出来たのか、本当に分からないんだ。本当にラッキーとしか言い様がないね。

 

 

---まず1番先に出演承諾をしたアクターは誰ですか? そしてこの映画の総制作費は一体いくら位なのでしょうか?

 

まず1番初に出演依頼をして1番最初に決まったのがライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)で、それから他の出演者を決めて周りを固めて行ったと言う感じ! 制作費に関しては、最初はUS$12Million(約9億6千万円)と言うかなり小さな予算で、最初は違うスタジオでやる予定だったんだ。でもその後グラントと僕は10人の出資者達とかなり詰めた会議をして、政治的な側面ばかりを強調する映画にはしないと言う方針で合意して、十分な制作費を捻出する事に成功したと言う訳! でも、映画の内容がかなり特殊で、様々な国で公開されると言う事を考慮して、結局キャスティングの形態をかなり変える事になった事は確かだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

Dominique Strauss Kahn1.jpg---政治的な誘惑についてちょっと話をしてくれますか? そしてこの映画の中の会話の内容について少し触れて下さい。

 

この映画の中の政治的な背景はとても刺激的で、とにかく登場人物は最初から最後まで“リッチ”で“権力者”言うシナリオなんだ。

 

 

 

---ドミニク・ストラス・カーン(Dominique Strauss Kahn)(政治家)にこの映画を鑑賞する事を勧めるつもりですか?

 

それは無いね。どこの国でもセックス・スキャンダルは付きものだと思うし、こうした事は世界共通の問題だと思うよ。それにそれぞれのお国事情がある訳だし、自分の口からはこれと言って何も特別言うべき事ではないと思っているんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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---この映画制作が何故あなたにとってそんなに大切なのですか? そしてこうした政治的傾向は現代特有のメカニズムなのか、それとも権力闘争はいつの時代にもあるものとお考えですか?

 

まず、2つ目の質問についての答えだけれど、権力闘争は古今東西、それこそジュリアス・シーザーの時代からいつも変わらずにあって、勿論それは今でも同じ事だと思うよ。そして、そうした事の繰り返しが我々の日常生活を狂気に導く原因の1つなのかもしれないね。それから1つ目の質問をもう1回言ってくれるかな?

 

 

 

---映画を制作する事の意義は?

 

この映画に関して言えば、実は既に2007年から制作準備を始めていていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

George Clooney7.jpgちょうどその直後にバラク・オバマが大統領になって国全体が新たな期待に溢れていた頃で、そうした転換期の中で様々な側面から物事を見つめ直すには絶好の時期だったのだと思うよ。そして、ある日皆で気軽なランチを楽しみながら映画談義を交わしている内に、全員一致で“今がこの映画を制作する絶好の時期”と言う事で話がまとまったと言う訳! それから約1年後のあるランチの席で、誰かが又この映画の話を蒸し返して、そこで僕もグラントも腰を上げたと言うのがこの映画を作る事になった経緯なんだ。とにかく答えは出さずに、映画を観た後に皆が様々な疑問を投げ掛け合う様な映画を作ってみたいと思ったんだ。

 

僕は、70年代の素晴らしい映画文化の中で子供時代を過ごして来たし、市民権運動、女性人権運動(ウーマンズ・リブ)、反ドラッグ運動、反戦運動など、激動の時代を経験して来た世代! だからいつも議論しながら試行錯誤を繰返す事が好きなんだと思う。とにかく当時の様子を振り返ってみると、殊更答えを探すと言う訳ではなく、良くいろいろな事を語っていたものだよ。それから僕は“ミュージカル”制作もしてみたいと思っているんだ。

 

 

 

 

 

 

 

George Clooney6.jpg---あなたは、アクティベスト(活動家)なのでしょうか? これはかなり政治的な色合いの強い映画だけれど、監督としてではなく、あなた個人としての政治的な視点を伺いたいのですが・・・。そしてリパブリカンズ(共和党)とデモクラッツ(民主党)は、この映画をどのようにとらえると思いますか?

 

ウォール・ストリート街でも、どこにでもこの種の問題は、いつでもあるものだと思うよ。それに、僕はこの映画を殊更“政治的”な作品とは考えて いないし、むしろ人間の持つ“道徳性”や“自身の魂への問いかけ”について語りかける作品だと思っているんだ。勿論映画の中で政治的に様々な面白い展開がある事は確かだけれど。そして映画の中に出て来る様々な闘争は、僕の個人的な経験を通して得た主観もかなりあると思うよ。例えば、ダニー・オーシャン(Danny Ocean)を演じる為にラスベガスで殆ど1年以上の歳月を“お酒”と“ギャンブル”の中で暮らして“ラスベガス流生活”を勉強したし、1つの作品を完成するまでに4年も5年もの歳月を費やすような事をしていたら、どちらにしても映画の中に僕自身が存在するのを避ける事は出来ないと思うよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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---それでは、先ほどの質問に戻りますが、リパブリカンズとデモクラッツは、この映画をどのようにとらえると思いますか?

 

今回初めてこの映画を公開する事になったけれど、正直言って皆がこの映画をどのようにとらえるのかについては全く見当もつかないんだ。今は映画の作り手側としてどう言う反響が出て来るのか、自分自身でも興味深く見守っている所だよ!

 

 

 

 

Grant Heslov1.jpg---この映画を作る事になったあなたの真意は何なのでしょうか? それはアメリカ社会や政治に対する警告、それとも様々な世界政治情勢を反映した上でのモラルへの問いかけ? “シニズム(懐疑主義)”と“リアリズム(実存主義)”、そして“現在の大統領選キャンペーン”の狭間で何かを問いかけているのでしょうか?

 

グラント・ヘスロヴ(Grant Heslov)と僕がこの映画の中に盛り込みたかった議題は、ある種の“モラル意識”、“不正への疑問” そして最後には“物事の正義や正当性”と言う事なんだ。とにかく他の仕事をしながら、かなりの長い年月をこの映画制作に費やして来た訳で、時には映画と現実の世界の区別がつかなくなるような事もあるにはあるけれど、お互いに真の意味で理解を分かち合う事が出来て、とても素晴らしい経験をさせてもらったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

George Clooney9.jpg後は確か、アイディアリズム(理想主義)とシニズム(懐疑主義)の狭間と言う質問だったよね? 現在アメリカで起きている事が他の国々にも関連し、影響を与えると言う状況の中で、現在は国家の統治と言う面では色々と難しい問題が山積しているのだと思う。そう言う国際的な環境の中で世界の各地で“懐疑主義”が蔓延している事は確かな事だよね! でも、楽観的過ぎると言う人がいるかもしれないけれど、でも僕は物事はいつも“中庸”に戻るものだと信じているんだ! きっといつか“理想主義”が“懐疑主義”に打ち勝つ日が来ると僕は信じて止まないよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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---グラントとはどの位の年月のお付き合いなのですか?

 

1982年に“アクティング・クラス”で一緒に勉強して以来の付き合いで、それから一緒に芝居をしたり、ショートフィルムを作ったりし始めたんだ。そして、プロダクション会社“セクション8(Section 8)”で又一緒に仕事をするようになって、ずっと一緒に仕事をし続けている最愛の仕事仲間と言った所かな!

 

 

 

 

 

George Clooney8.jpg---政治社会には興味はないと言う事ですが、今まで“監督”、“ハリウッド・スター”として何か“妥協”をして来たような事は有りますか?

 

 “映画監督”として“政治社会”や“政治家”に妥協する事は、別に人生を変えるような大事件ではないはずだし、僕に“生と死”に関わるような結論を下す資格はないと思うよ。

 

勿論、人生は小さな妥協の連続だと思うけれど、でも僕の投げ掛けは、あくまでも芝居や舞台の上の事で、現実の社会に一石を投下している訳ではないからね。そして自分の判断の誤りで数多くの人命を失うような立場にいない事に心から感謝しているよ。僕は映画を作る事が大好きな“映画屋”だし、僕の映画を観て時々ちょっとした悼みや感慨を持ってくれる事があればそれだけで満足なんだ。









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