押しも押されもせぬハリウッドの若手トップ俳優ティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)が若き日のボブ・ディラン(Bob Dylan)を体現して大絶賛を浴びた『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(原題:A COMPLETE UNKNOWN)。第97回アカデミー賞の主演男優賞をはじめ、計8部門にノミネートされて世界中の注目を集める話題作が、いよいよ2月28日から日本公開されます。それに先駆けて2度目の来日を果たしたティモシーが、都内で行われたレッドカーペットイベントに登場しました。
日本列島を寒波が襲った2月8日、会場となる麻布台ヒルズの中央広場に設置された会場には、抽選で招待された約250人のファンたちがティモシーの登場を今か今かと待ちわびています。主演作『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のプロモーションで初めて日本を訪れて以来、約1年半ぶりに来日したその姿を目に焼き付けようと、会場をぎっしりと埋め尽くしたファンたちの熱気で寒さも吹き飛びそう。
夕暮れの中、割れんばかりの歓声に包まれてレッドカーペットに登場したティモシーは、日本のファッションブランド「A BATHING APE」のマスコットキャラクター「BABY MILO」のチェーンバッグを下げています。これまで本作のプロモーションでロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ローマなど世界各国をめぐる中で、日本の玩具ベイブレードを手にしてカーペットに登場したり、街中で電動サイクルをレンタルして会場に乗り付けたり、さまざまなサプライズを見せてくれたティモシーならではのキュートな演出! ボブ・ディランを思わせるサングラスをかけて、スタイリングはストリートテイストで決めています。
満面の笑みを浮かべてレッドカーペットをゆっくり進みながら、1人1人に惜しみなくていねいにファンに対応していくティモシー。セルフィーに応じ、サインを書き、温かな交流を楽しむ姿に、会場の熱気は盛り上がるばかり。時間をかけてファンと交流した後、ステージに登ったティモシーはファンを見渡しながら、感無量の表情でマイクを持って、「今日はありがとうございます。日本に戻ってこられて、本当に嬉しいです。」と挨拶しました。
20世紀最大の詩人・ミュージシャンであり、ノーベル文学賞も受賞した伝説的アーティストとして知られるボブ・ディラン。この映画は、ミネソタ出身の19歳だった無名の彼が、ギターを片手にヒッチハイクでニューヨークにたどり着くシーンから始まります。物語で描かれるのは、米ソ冷戦や公民権運動などアメリカ社会が大きく変わった1961年から1965年まで。ティモシーは、激動の時代のうねりの中で数々の歌を世に送り出して若者の心をつかんでスターダムに駆け上っていく栄光に満ちた姿と、その裏にあった苦悩や葛藤を全身全霊で演じきっています。彼を取り巻くミュージシャンたちとの関係性や、2人の女性との恋愛模様も観どころと言えるでしょう。
プロデューサー陣にも名を連ねているティモシーは、製作が決まってから5年半という長い年月をかけ、徹底して緻密な役作りを行ってきました。研ぎ澄まされた感性と孤独な内面を探求し、ボイストレーニングを積んで歌はもちろん、ギターやハーモニカも習得し、時代背景などあらゆる方面からリサーチしたのです。こうしてボブ・ディランになりきった彼は、すべての歌唱シーンを自身の声で歌い上げています。しかも録音でなく撮影時にライブで歌って、圧巻のパフォーマンスを成し遂げたティモシー。その魂の演技にボブ・ディラン自身もSNSで「真実味のある私になっているのは間違いないと思う」と投稿して、お墨付きをもらったほどです。
ティモシーは、「ボブ・ディランは私にとって非常に大きな存在であり、アメリカの素晴らしいアーティストの1人です。しかし、アメリカ人だけでなく、日本にも多くのファンがいることを、5年半にわたるリサーチの中で知りました。1970年代には日本全国でコンサートを行い、彼の最高のレコードのいくつかが日本で録音されたこともあり、その歴史的な背景を知ると、さらにこの映画を楽しんでいただけるのではないかと思います。」と語ります。ボブ・ディランへのリスペクトだけでなく、日本との深いつながりにも触れてくれたことは、嬉しいサプライズ。これほどまで熱心なリサーチと探求を重ねてきたことに、改めて感心させられます。
そして、ステージに飾られたギブソンのギターを目にして、「美しいギターですよね。」とつぶやくティモシー。ファンへのメッセージを求められると、静かに思いを込めて「この作品を通して、本当に自分の人生を変えてくれたアーティストと出会いました。それこそが、この映画を作る上でのかけがえのない経験でもありました。」と感慨深そうに語ってくれました。
さらに「ボブ・ディランという存在が自分にどれほど大きな影響を与えたのかは、言葉では言い尽くせません。同じように、素晴らしい共演者であるエドワード・ノートン(Edward Norton)やモニカ・バルバロ(Monica Barbaro)、エル・ファニング(Elle Fanning)たちも、それぞれのキャラクターを演じる中でボブ・ディランの持つスピリットに触れ、心を動かされていたと思います。その結果、この作品は独自の魂を持つ、唯一無二の映画となりました。ジェームズ・マンゴールド(James Mangold)監督とともに、僕らチームが一丸となって全身全霊でつくった作品です。ぜひ劇場でじっくりと時間をかけてご覧いただきたい、そう思える作品に仕上がったと自負しています。」と、強い思いをにじませました。
何度もファンに感謝を込めて「Thank you.」と繰り返し、最後に「自分にとって、この映画に関わることは1つの使命のように感じています。ただ、普段からアートというものは観る人の解釈に委ねられるべきだと考えています。皆さんがご覧になったときに、僕と同じように感じるかどうか、愛していただけるかどうかは分かりません。でも、少なくともこの作品は、観る価値のある映画だと確信しています。ぜひ劇場で体験してください。」と熱く語ってくれたティモシー。フォトセッションを終えた後にも再びファンに手を振り、キュートな声で「ミテネ!」と日本語で呼びかけると、会場の興奮と熱気はさらにエスカレートして、最高潮に達しました。
映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(原題:A COMPLETE UNKNOWN)
2025年2月28日(金) 全国公開
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ティモシー・シャラメ、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルック、ダン・フォグラー、ノーバート・レオ・バッツ、スクート・マクネイリー
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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■公式サイト: https://www.searchlightpictures.jp/movies/acompleteunknown
TEXT:丸山けいこ