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ロンドンのセントポール大聖堂(St Paul's Cathedral)にて。写真左から:エリザベス女王とフィリップ殿下(1982年7月26日当時)

フィリップ殿下を偲んで! “永遠の愛”に隠された秘密 (前編)

エリザベス女王とフィリップ殿下、それは“生涯続いた笑いに溢れる日々”。

99歳で薨去されたエディンバラ公爵フィリップ王配(フィリップ殿下:Prince Philip, Duke of Edinburgh)の死を悼み、喪に服する英国国民。

4月9日早朝、静かに息を引き取ったエディンバラ公爵フィリップ王配(享年99歳)だが、その訃報に関してバッキンガム宮殿は次のような声明を発表している。

エリザベス女王(Elizabeth II)は深い悲しみを持って、最愛の夫のエディンバラ公爵フィリップ殿下の薨去をここに発表致します。フィリップ殿下は9日朝、ウィンザー城で安らかに息を引き取られました。また葬儀などの詳細については、後程追って発表致します。イギリス王室は現在、世界中の人々と共に殿下の死を悼んでいます。」

殿下御薨去を知らせる黒縁の額がロンドン中心にあるバッキンガム宮殿の門の外に掛けられ、その発表の直後からバークシャー州(Berkshire)にあるウィンザー城(Windsor Castle)の門の前には住民たちが捧げる花束や追悼カードなどで溢れ、殿下の死を悼む弔辞が次から次へと寄せられていた。

“永遠の愛”に隠された秘密

それは“生涯続いた笑いに溢れる日々”、“互いのユーモアを楽しむ心”、“思いやりと人間味に溢れるしぐさ”、“ロイヤルカップルに共通する素朴な人柄”以外の何物でもない!

祖父母の“永遠の結婚”の秘密について質問を受けるたびにケンブリッジ公爵(ケンブリッジ公ウィリアム王子(Prince William, Duke of Cambridge)はいつも次のように答えている。

「祖父は祖母の笑いを誘う微妙なコツを心得ているんです。たとえどんなに辛いときでも2人はいつもこよなく“笑い”を愛し、笑いを忘れないことでさまざまな苦難を乗り越えてきたと思うんです。

もちろん、2人の立場上全ての物事を正しく仕切らなければならないのは当然なことだとは思いますが、でも必ずしもいつもそうなるとは限りません。そして、何か悪い事態が生じても、2人はまず“笑いを分かち合う”ことから始めるんです。」

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現地時間2021年4月17日。バークシャーのウィンザー城にあるセントジョージ礼拝堂での葬儀中にクワイアに運ばれるフィリップ殿下の棺。

確かに、このロイヤルカップルが互いに分かち合うユーモアのセンスは数多くの記録に残されている。ちょっといたずらで、現実味のあるジョークを愛する2人だが、たとえば1951年のカナダ訪問の際も“フィリップ殿下が巨大な入れ歯をつけて女王を列車の通路まで追いかけまわす”という他愛のない遊びを楽しむ姿が目撃されている。

さらに1957年、女王のクリスマススピーチが初めてテレビ放映された際、フィリップ殿下は番組ディレクターに「女王に泣きわめいて、歯ぎしりすることを忘れないよう、伝えてほしい」と走り書きしたメモを渡したという。

それは新約聖書の中にある“地獄の苦しみ”を皮肉に例えて、女王の緊張を和らげようとする殿下特有の機転の利いたユーモアだったと伝えられている。

また、他の公式訪問に連れ添った際、女王の机の上にナッツの缶を残した殿下だが、女王が缶のふたを開けると“蛇の格好をしたリス”が飛び出すという仕掛けの“おふざけ”を楽しむようなこともあったという。

互いのジョークを楽しむことに労をいとわないロイヤルカップルの間にはその他にも数多くのエピソードが残されている。

一つ一つの例を挙げると枚挙にいとまがないが、例えば使用人の1人が誤ってサービングテーブルを跳ね上げてしまい、ケーキの一かけらが女王の体の上に落ちてしまったシーンを目の当たりにして、こらえきれずに笑い転げたというフィリップ殿下!

その逆に今度はアスコット競馬場で突然椅子が壊れて床に転げ落ちる殿下の姿に、クスクス笑いをこらえきれなかったという女王の姿も目撃されている。

また、その仕返しというわけではないが、2004年のクリスマス家族会食で、食事の合間に女王が休憩で席を外した際、既に会食の席を離れたと思った召使が女王の椅子を片付けてしまい、そのショックで周囲には一瞬静寂がよぎったが、フィリップ殿下のとっさの笑いがその場の緊張を解きほぐして、その後家族全員が大笑いをしたことがあったという。

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現地時間2021年4月17日。バークシャーのウィンザー城にあるセントジョージ礼拝堂でのフィリップ殿下の葬式中の(写真左から)エリザベス女王とヨーク公爵アンドルー王子(Prince Andrew, Duke of York)。

どうやら、フィリップ殿下は常に女王に元気を与える技を心得ていたようで、それが女王の配偶者として長年女王に仕えた、王配としての一番大切な役割であったのかもしれない。

そしてそれを示すかのように、2003年4月、女王のお供で、グレナディアガーズ(Grenadier Guards:イギリスの近衛歩兵連隊)の訓練を鑑賞している際、2人揃って笑い転げている写真が残されている。

その笑いの原因は定かではないが、どうやら2人の前を飛び交う蜂の姿がロイヤルカップルの笑いを誘ったということらしい。

もちろん、女王とフィリップ殿下の結婚生活は、ユーモアだけではなく、“真のロマンス”で溢れるものであったことは間違いない。

その証拠に、フィリップ殿下に恋をしたエリザベス女王は、交際中も当時ロイヤル・ネイビー(イギリス海軍)に仕えていたフィリップ殿下への熱い想いを胸に、ミュージカル『オクラホマ』の中の「ピープル・ウィル・セイ・ウイ・アー・イン・ラブ(People Will Say We’re In Love)を幾度となく歌っていて、この曲は今でも2人の一番のお気に入りなのだという。

1947年にフィリップ殿下と結婚した女王は、挙式後まもなく母親宛に手紙をしたため、その幸せな思いを次のように伝えている。

「フィリップは天使のように優しくて、思いやりに溢れた人です。これから先も彼と共に生きていくことで、きっと私の人生は完璧なものになるものと信じています。」

Words © Laura Hills
Photos © Mirrorpix

後編へ続く・・・。

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