━━ベニー(オースティン・バトラーが演じる謎の道行く戦士ベニー(Benny))の精神構造には闇があります。そのようなキャラクターや『デューン 砂の惑星 PART2』(原題:Dune:Part Two)のキャラクターを演じ、そのような暴力や邪悪を呼び起こさなければならないとき、それがあなたに何らかの影響を与えますか?
暗い役柄を演じることだけが、あなたに影響を与え、あなたから離れられないわけではありません。私は過去にエルヴィス(2022年公開の映画『エルヴィス』(原題:Elvis))を演じたときに、彼の人生と彼の世界の一部であるすべてのものに完全に没頭しようと決心したとき、確かにそれを経験しました。私が再び自分自身を感じることができ、彼のように振舞ったり、彼のような鈍い話し方をしたりする癖に陥らないようになるまで、しばらく時間がかかりました。
『デューン 砂の惑星 PART2』はまったく違っていました。フェイド(オースティン・バトラー演じる悪役フェイド・ラウサ(Feyd-Rautha))はとても暗くて邪悪だったので、自分の精神を侵略させるなんて考えられませんでした。フェイドとははっきりと境界線を引かなければならず、そうしないと心理的にとても悩まされることになりますし、友人や家族にそんな闇に触れてほしくないのです。
フェイドの頭から離れていたおかげでドゥニ(・ヴィルヌーヴ(Denis Villeneuve))『デューン 砂の惑星 PART2』の監督)が「カット」と言った瞬間に、自分がよりコントロールできていると感じることができました。周りの人全員をとても守り、気遣っているという奇妙な感覚がありました。
━━エルヴィスで大きな注目を集め、最近では『マスターズ・オブ・ザ・エアー』(原題:Masters of the Air)、『デューン 砂の惑星 PART2』、『原題:ザ・バイクライダーズ』(The Bikeriders)などのプロジェクトで、ここ数年は目まぐるしい日々を送っています。この時期はあなたにとってどんな感じでしたか?
できる限り一瞬一瞬を味わうようにしています。言葉で説明するのは難しいですね。すべてを客観的に捉え、これから起こるすべてのことに期待するようにしています。
しかし、何よりも、私は恵まれていると感じていますし、こうした機会を楽しめて、自分の人生と、パフォーマンスや他人の人生を捉えることに伴う芸術を融合できることにとても感謝しています。そのすべてに美しさがあります。
━━映画の撮影が終わった後、エルヴィス訛りをなかなか消すことができなかったというのは有名な話です。エルヴィス訛りがまだあなたの中に残っている部分はありますか？
エルヴィスは私にとって常に心に残る役です。私の態度や話し方はもう彼に似ているところはないと思いますが。でも、私は彼に対してとても尊敬と畏敬の念を抱いており、彼を演じたことは忘れられない経験でした。それは、彼を愛していた祖母たちを喜ばせたからだけではありません。エルヴィスは自分自身に忠実であり続け、他の人がどう考え、何を望んでいるかに関係なく、私にもそうするように教えてくれました。
━━『原題:ザ・バイクライダーズ』のあなたの役は、内なる怒りと実存的不安を抱えています。以前、瞑想が心を落ち着かせ、集中力を保つのに大いに役立っているとおっしゃっていましたね。
私は10年前、母が亡くなった後に瞑想を始めました。今でも毎日瞑想しています。私は内向的な子供で、演技に出会うまで友達はあまりいませんでした。
私にとって、瞑想は自分の内面を探求し、それに対処する方法です。毎日その時間を使って自分の考えに集中し、自分自身と外の世界との平和を保つことは、信じられないほど治療効果があると感じています。
━━あなたが成長する過程で母親から受けた重要な人生の教訓はありますか?
母は毎朝、感謝していることを10個書き留めていました。母が亡くなった後、そのリストが書かれたノートを見つけました。そこには、 「マニキュアを塗れるから爪に感謝している。」など、一見取るに足りないと思われるような、素晴らしい小さなことが書かれていました。
これらの言葉を読んで、人生はそれをどんなレンズを通して見るかによって決まるのだということに気付きました。感謝できなければ、何も美しくは思えません。私は毎日、自分なりのリストを作って、自分がいかに幸運であるかを思い出すようにしています。
━━瞑想以外に、リラックスするために何をしていますか?
サウナに入ってから水風呂に入るとよく眠れます。読書も好きで、特に脚本を読むのが好きです。『パルプ・フィクション』(原題: Pulp Fiction)の脚本を何度読んだか分かりません。ジョークは全部暗記しています。だから、ある日クエンティン(・タランティーノ(Quentin Tarantino)監督)と一緒に仕事ができて、彼の遺産の一部になれたのは、運命の不思議な偶然でした。
━━あなた自身を最もよく表していると思う資質はありますか?
感謝の気持ちだと思います。人生が与えてくれたすべてのものに感謝する気持ちで毎日を過ごすようにしています。
オースティン・バトラーの上記のコメントは、2023年8月30日にコロラド州テルユライド(Telluride)で行われたもので、バトラーは『原題:ザ・バイクライダーズ』の世界初上映に出席していました。さらに、2024年2月4日にロサンゼルスで『デューン 砂の惑星 PART2』のプロモーションのために行ったインタビューのコメントも含まれています。彼のコメントは、長さと明瞭さを考慮して要約および編集されています。
Words © Jan Janssen / WENN
Photo © Phil Lewis / WENN
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