━━『ブラックアダム』(原題:Black Adam)(日本公開2022年12月2日)でアトム・スマッシャー(Atom Smasher)の役を手にしたときの感想についてはいかがですか?かつての『好きだった君へのラブレター』(原題:To All the Boys I’ve Loved Before)や他のヤングアダルト作品とはかなり大きな違いを感じたのではありませんか?
今までの作品への出演を通して、本当に素晴らしい時間を過ごすことができましたし、そうしたチャンスを手にできたことにとても感謝しています。俳優は常に、さまざまなジャンルで異なった演技に挑戦したいと思っている生き物なんです。
ですから、『ブラックアダム』で演技をすることは、私にとって信じられないほどの大きなチャンスでした。幼いころからスーパーパワーを持っている気分を持ちながら裏方を経験をしていると、例えば鏡に映る自分のスーツ姿を見て、自分で自分の姿に驚いてしまうことがあるんです。
━━あなたのラブ・コメディーのファンは、スーパーヒーロー映画でのあなたの役柄にどのような反応を示すと思いましたか?
それについては特に、これといって心配はしていませんでした。ファンはいつもある程度まで僕の挑戦を認めて、ついてきてくれると思っていますし、過去の作品に馴染みのない新しい観客やファンを見つけることも重要なことだと思っています。
ですから、『ブラックアダム』では、新しい領域を開拓してみようという意図を持って演技に挑戦してみました。それはまさに“全てを投げ出したとき、新しい何かを手に入れることができる”といった心境でした。
━━『ブラックアダム』を作るために10年という歳月を費やしたというドウェイン・ジョンソン(Dwayne Johnson)との仕事は、あなたにとってどのようなものだったのでしょうか?
ドウェインは常に心の奥底に情熱を秘めた人で、そうした彼の強い思いに自分も応えなくてはと思わせるような人なんです。この作品を世に送り出すまで10年以上の歳月をかけていて、チャンスのきっかけを辛抱強く待っていたのだと思います。とにかく、大きな存在感を持つ人で、そこに座っているだけで、この作品に対する彼の興奮や『ブラックアダム』と彼のつながり、そして他の全てのキャラクターと彼のつながりを感じることができるんです。
そして、ドウェインは自分が何を望んでいるかを正確に知っている人です。彼は素晴らしいチームビルダーであり、優雅なプロフェッショナリズムの達人でもあるんです。自分が自分を信じる以上の信頼を僕に寄せてくれるので、可能を不可能にすることもできてしまう! それが彼と一緒に仕事をする魅力なのだと思います。
━━アトム・スマッシャーの役柄をその後の『ブラックアダム』作品の中で、どのように進化させていきたいかについて何か特別な考えはありますか?
その答えをまとめ上げることができれば素晴らしいと思います。逆に、他の人たちがどのように思っているかを知りたいと思います。僕にとっては、“アメリカの正義”とアトム・スマッシャーの解釈には様々な側面があるんです。暗く捉えることもできるし、角度を変えれば明るい側面につながる可能性も見えてくる。ですから、限りなく広がりのある解釈を含んだ演技ができればと思っています。
『ブラックアダム』の制作に関わっている全ての人は、この作品の今後の発展に興奮していて、ドウェインもまた、彼のかつて経験の中で予期せぬ素晴らしい展開があると確信しています。もちろん、DCやワーナー・ブラザースも、この映画に非常に期待しており、これから先、さらに物語を進める準備ができていて、僕自身も今後の展開をとても楽しみにしています。
━━『ブラックアダム』でドウェイン・ジョンソンやピアース・ブロスナン(Pierce Brosnan)(ドクター・フェイト(Doctor Fate)役)のような大スターと一緒に仕事をすることで、かなり多くのことを学ぶことができたのではありませんか?
出演に至るまでの準備の過程や、演技に入る瞬間の動きなど、全てが僕にとって学びの場でした。観客が決して見ることのない役作りのささいな気付きや気遣い! こうしたことに彼らは自信と理解を兼ね備えているんです。演技はあくまでも役者を際立たせて見せる一部に過ぎません。ですから彼らがなぜスターと呼ばれる栄誉を勝ち得たかを考えると、それは決して偶然の結果ではないと思います。
彼らが撮影現場でどのようなことをしているのか、クルーにはどのように振る舞うのか、どのような雰囲気を作り出そうと心がけているのかを実際に見て学ぶことができるのは、どんな俳優にとってもかけがえのない教育であり、言うまでもなく僕にとっては間違いなくそのような経験だったといえます。
━━15歳の時にプロの俳優として活動し始めたそうですね。演技に興味を持ったきっかけは?
僕が演技を始めたのは小学3年生からです。小さい頃は敏感でとても恥ずかしがり屋な性格で、とにかく新しい人との出会いがとても苦手でした。でも、3年生のときに即興で演技とは何かを学んだ僕は、役柄を演じることで自分の中に自信を見いだすことができるようになって、舞台にいるという感覚が大好きになったんです。5年生のときは、『ジャングル・ブック』(原題: The Jungle Book)のモーグリ(Mowgli)を演じて、レオタードを着て走り回っていたんです。
今思うと僕は、最後の拍手、人前で観客を笑わせる行為、そしてそこに存在する崇拝に似た感覚に魅了されていたのかもしれませんね。当時はそれほどはっきりとした自覚はありませんでしたが、もしかすると僕は皆から集まる注目の視線が好きだったのかもしれません。ですから、演技をしているときは陶酔感に浸り、ずっと演技し続けていたいと思っていました。僕はきっとそうした自分の思いをもとに、自分が本当に愛するものを長年自分の中で育み、心の中で熟成してきたのだと思います。僕はアイデアや物語を常に他者との共有のチャンスとして捉えているんです。
━━今後数年後に、別のロマンティック・コメディーに出演する考えはあるのでしょうか?
もちろん! 僕は今でもこのジャンルの作品が大好きですし、今までのような流れで語られる素晴らしいストーリーを見たいと思っているファンはたくさんいるのではないかと思います。どちらにしても、僕に取って大切なことは、自分が情熱を注ぐことができるプロジェクトを見つけ、それをさらに次のレベルに進化させ、引き上げようとする挑戦なんです。
上記のノア・センティネオのインタビューは、2022年10月15日に行われた『ブラックアダム』宣伝のためのズームインタビュー中でのコメント。その他にも、2022年7月23日に開催された『ブラックアダム』を支援するサンディエゴ・コミコンイベントにノアが参加した際に残されたコメントで、文章の長さと明瞭さのために一部編集されています。
Interview © Jan Janssen / Wenn
Photos © WENN.com
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