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フローリアン・ゼレール監督の映画『ザ・サン』の父親役について、「どこか心の奥深くで演じる必要性を感じていたのではないかと思います。」と語る、多彩な才能を兼ね備えた俳優、歌手、ダンサー、舞台パフォーマーのヒュー・ジャックマン。

OK! インタビュー☆ヒュー・ジャックマン:映画『ザ・サン』からの教訓(前編)

「子供たちへ自身の弱さを隠さず、正直な父親として接することができるようになった。」と語る、10代の息子を救おうと苦悩する父親役を演じたヒュー。

多彩な才能を兼ね備えた俳優、歌手、ダンサー、舞台パフォーマーで、その一生で成し遂げたいと思っている夢を全て実現したといえるヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman)! ウルヴァリン(Wolverine)を演じた彼は、主役を飾る映画スターになり、さらにマディソン・スクエア・ガーデンや他のアリーナで演じるワンマンショーのチケットを完売し、現在は1年間に渡る『ザ・ミュージック・マン』(The Music Man)の再上演で、ブロードウェイ劇場を満席にしている。2017年の『グレイテスト・ショーマン』(原題:The Greatest Showman)への主演を皮切りに、類まれな才能を披露した彼は、その後もメキメキと頭角を現し、今もなおどこから見てもショーマンにふさわしい活躍を続けている。

しかし、10代の息子を何とか救おうとする父親の深い心理的苦悩を克服する過程を描いた感動的な映画『ザ・サン』(原題:THE SON)で父親役を演じたジャックマン(54歳)は、今までのスクリーンやステージでは感じたこともないような思いを体験したという。

今年9月に開催されたヴェネツィア国際映画祭で上映された『ザ・サン』は10分間に渡るスタンディングオベーションを受けたという力作で、イギリスでは既に11月11日から公開されている。そして今後も世界中での上映を控えている『ザ・サン』はきっと世界中の観客を魅了するに違いない!

フランスの映画製作者兼劇作家のフローリアン・ゼレール(Florian Zeller)が監督した『ザ・サン』の中で、ジャックマンは若い女性(ヴァネッサ・カービー(Vanessa Kirby))と共に幼児を育てる政治的野心に溢れる弁護士役を演じ、かつて出演した作品の中でも最も難しいと思われる役柄を演じている。彼の元妻(ローラ・ダーン(Laura Dern))が問題を抱えた思春期の息子(ゼン・マクグラス(Zen McGrath))と一緒に彼の家を訪れたときから、彼の世界は混乱に陥ってしまう。そしてジャックマン演じる父親は、この2度目のチャンスを通して、かつての自分の父親としての過ちを深く振り返ることになる。

アンソニー・ホプキンス(Anthony Hopkins)にアカデミー賞をもたらした、フローリアン・ゼレール監督の前作『ファーザー』(原題:The Father)に感動し、この映画を絶賛するジャックマンは、『ザ・サン』の脚本を読んだ後、この作品で演じることに強い執着を覚えたと語り、そのときの自分の思いについて次のようにコメントしている。

「『ザ・サン』の脚本を読んだとき、まるで体内に火がついたようなショックを受けたことを今でも覚えています。私はかねがね、いつか時期が来たら父親としての役を演じてみたいという衝動にも似た思いを持っていました。そして『ザ・サン』の脚本を目にしたとき、何が何でもこの映画に出演したいという強い思いに駆られてしまったんです。

人生のこの時点で自分にとって適役と感じる作品とのめぐり会いは僕にとって非常に美しい瞬間であり、人生の中でそう度々起こるものではないと思います。でも、そう思えば思うほど、もしかしたらこの役は僕に回ってこないかもしれないという恐れが募ってきて、僕はついにフローリアン(・ゼレール)にメールを送り、“今、あなたが他の誰かとダンスをしているかどうかは分かりませんし、私はそのダンスに割り込むタイプの人間ではありません。でも、もしまだ誰ともダンスをしていないようでしたら、是非私と一緒に踊ってください。とにかく一度お話をさせて頂きたいと思っています。”と訴えたんです。すると、彼は私にメールで返事を送ってくれ、私たちはすぐに話しをすることができました。監督が私の思いを受け止めてくれたことを本当に嬉しく思っています。」

『ザ・サン』は最近開催されたヴェネツィア国際映画祭及びトロント国際映画祭で最も話題に上った作品の1つであり、ジャックマンはこの映画への出演を通して、26年間連れ添う妻、デボラ=リー・ファーネス(Deborra-Lee Furness)との間の22歳と17歳の2人の子供に対し、『“自身の弱さ”を隠すことなく、オープンで正直な父親として接することができるようになった。』というコメントを残している。

現在、ジャックマンは家族と共にニューヨークで暮らしている。

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写真左から:ヒューと妻のデボラ=リー・ファーネス。

━━この役柄に執着を感じたとおっしゃっていますが、以前も同じような気持ちを抱いたことはあるのでしょうか?

いいえ、そういう気持ちを持ったことは今まで一度もありません。この役柄は、おそらく私が強く望んでいたということだけではなく、どこか心の奥深くで演じる必要性を感じていたのではないかと思います。なぜなら、私はフローリアンが提起している多くの問題に自分自身でも悩み、苦しんできたからです。そこには、全ての親が理解できる非常に重要かつ普遍的な問題がいくつも含まれていて、私自身子育ての過程で下してきた選択について、いつも自分の気持ちと格闘してきたのではないかと思っています。

ですから、もしフローリアンが私の申し出を断ったらきっと自分が立ち直ることができないほど落胆するだろうと分かっていたにもにもかかわらず、自分の中にある差し迫った思いは益々大きくなって、フローリアンとのズーム通話が始まる前に募る思いと心配に関して妻に切々と話をしたことを今でもよく覚えているんです。こんな気持ちは私にとって初めてのことで、それまでどの映画の話があってもそのような不安を感じたことが一度もありませんでした。

また、この役柄はそれを手に入れるかどうかだけでなく、役を手にして実際に撮影現場に入った際、どのように演じたらよいのか、いつにもなく私に不安を抱かせるようなものでした。事実、この映画の製作中は熟睡できない夜が度々ありましたが、今思えばそれは私が受けて立たねばならない宿命のようなものだったのでしょう。

━━この映画を通して教えられた子育てについての教訓があるとすれば、それは何だと思いますか?

私自身、これまではずっと長い間、親は自分の心配や不安を見せない、強くて頼りがいがある存在でなくてはならないと思ってきたような気がします。でも、この映画を演じてから私の子供たちへの接し方は明らかに変わったと感じています。 つまり、2人の子供たちの前で1人の人間として自分の弱い一面を躊躇なく正直に見せるようにしたんです。

そうすると子供たちもそういう親を受け止め、どこか安堵していることが分かりました。ですから、この映画を見て、観客の皆が“そうした不安を持っているのは自分だけではない”と感じ、オープンな話し合いができることを願っています。メンタルヘルスは、時と状況によって誰もが抱える可能性のある問題で、今世界中で真剣に取り組まなければならない課題として提起されています。

Interview © Jan Janssen / Wenn
Photos © WENN.com

後編へ続く・・・。

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