━━それは、本当に心打たれるお話しですね。ところで母親になってからの人生に何らかの変化はあったと思いますか?
ゾーイ:多くのことに冷静に対処することができるようになったと思うわ。母親になると、まず1番大切で守らなければならないのは我が子で、それ以外のことに費やすエネルギーなんて全くないの。私はスチュアートとめったに喧嘩をしたりすることはないけれど、子供が生まれるまではたまには議論を戦わせたりすることもあったわ。でも、今はそんなことは全く無し! だって2人ともそんなエネルギーは全く残っていないから! (笑)。
サラ:私は最初、母親の役目はハリスを育てることだと思っていたけれど、それは私の身勝手な解釈で、その逆に実は私は子供に育てられているということに気が付かされたわ。どんなに小さくても子供に自主性を持たせることの大切さを、母親として毎日学ばせてもらっているわ。
━━実際の母親業は思っていた通りのものでしたか?
サラ:ハリスの子育ての最中にロックダウンになってからは、他のお母さんやベイビーと接する機会が全くと言っていいほどなくなってしまったけれど、ロックダウンが解除されてからは色々な親子交流が始まって、これから先はきっと期待通りの経験をすることができると思っているの。
ゾーイ:私の場合は、準備と覚悟はできていたつもりだったけれど、とにかく毎晩リスボンの夜泣きで眠ることができなくて、“嘘でしょう、こんなはずではなかったのに!”と思ったこともあったわ。
━━今の時点で母親として“理屈抜きにどうしても受け入れなければならない”と感じていることは?
ゾーイ:そうね。やはりいろいろな意味での“罪悪感”かしら!
サラ:私の場合は“眠れない夜が続くことを受け入れること”!
━━お2人とも“母親になること”に注目を浴びる立場にいるわけですが、そのことにプレッシャーを感じたりすることはありますか?
ゾーイ:もちろん、感じているわ。周囲の人たちは私が医師だということで、全てを知っていると思うような傾向があるけれど、でもそれは全くお門違い! なぜなら、個人的には私も初めて子供を持つ、右も左も分からない“新米ママ”なんですもの。だって、病気の見極めや治療法は学校で教わるけれど、授乳の仕方や子育ての難問を教えてくれる学校はないんですもの。
サラ:私はソーシャルメディアとは“愛憎が絡み合った関係”にあるの。ソーシャルメディアは“お互いを助け合う素晴らしい一面”と、“簡単に人を中傷したりして傷つけることができる悪い側面”もあると思うの。
━━“母親たたき”に関してはどのように対応しているのでしょうか?
ゾーイ:世界は広いし、考え方も人それぞれ! その中でたった1人の人の意見にとらわれる必要はないと思うの、だから正直言って、ソーシャルメディアのコメントで自分が左右されるようなことはないわね。
サラ:確かにそうだと思うわ。要するに“人の話を鵜呑みにしないこと”と自分に言い聞かせることが大切。ツイッターには往々にして“毒がある”コメントが多いので、私は自分の健康を考えて関与しないことにしているの。
━━では、もっと明るい話題に戻りましょう。母親になってから今までの間に体験した最も素晴らしいことを挙げるとしたら、それは何でしょうか?
サラ:今まで自分の中にあるとは思っていなかった“深い母性本能”に気付かされたということかしら!
ゾーイ:小さい頃に両親が離婚したということもあって、私にとっては家族を持つことはとても特別なことなの。
━━今回初めて親子2組、一堂に会したと伺っていますが、その感想についてはいかがですか?
サラ:今回初めてリスボンに会うことができて、なぜもっと早くにこうした機会をつくらなかったのかと後悔しているところなの。
ゾーイ:私はハリスが生後3ヶ月のときドクター・ランジ(Dr. Ranj)と一緒に初めて会っているの。とにかく“ご立派なウンチをする赤ちゃん”ということだけはよく覚えているわ。
━━お2人は仕事を離れた私生活でも親しいお付き合いをしていると伺っていますが。
ゾーイ:サラは、とても素晴らしい女性で、彼女とはとても波長が合うの。医者としての仕事にまじめ過ぎるくらい精進しているという点でも、私生活ではちょっと“間抜けでお茶目な”面があるという点で、私たちの間にはたくさんの共通点があると思っているわ。1つ注文をつけるとすれば、お互いにもっと近くに住むことができたら最高なのにね。
サラ:ゾーイとはITVグループの仲間の中でも1番親しく付き合っているの。そして彼女と、こうしたお付き合いができることをとても光栄に思っているわ。
Words © Chloe Alexandrou
Photo © Lorna Roach
Styling : Jeff Mehmet / Hair & Makeup : Lyndsey Harrison
Vol.3へ続く・・・。