━━確かメーガンはあなたの元のパートナー、ジョー(Jo)のお嬢さんと伺っていますが、混合家族(ブレンディド・ファミリー:Blended family)の中でお互いに過ごしやすい環境をつくることができる状況を誇りに思っていますか?
そうなんだ。メーガンは小さい頃から動物に夢中で、彼女がシャーロットと初めて会ったとき、今まで自宅で“フクロウ”や“蛇”を飼っていた経験とはかなり違って、“トラ”や“ライオン”を飼っている人がいるということにかなり驚いたようだった。そしてそれ以来、メーガンは動物園でシャーロットと一緒に働く機会を積極的につくるようになったようだよ。それまでは“お芝居”を学びたいと思っていたらしいけれど、どうやら保護地区での経験が彼女に“悟りの境地”をもたらしたようなんだ。
━━ということは?
ある日突然、彼女から電話があって、僕は一瞬“ボーイフレンドのことかな?”と思いながら受話器を取ったのだけれど(笑)、それが“お芝居の代わりに、生物学(Bbiology)や動物学(Zooology)を勉強したい”という相談で、メーガンはそこから“A”レベルの成績を取って、大学進学を目指すために猛勉強を始めたんだ。動物園でトラと一緒に時間を過ごすようになってから、トラが放つ独特の神秘性に魅せられたようで、特に1、2匹のトラと絆が深まったらしい。トラとアンテナが合うと、そこには特別な何かが芽生えるようで、メーガンはトラの特別な魅力にあらがえなくなってしまったようなんだ。
━━(今年の5月4日)60歳のバースデイを迎えられたわけですが、節目の歳をどのように感じていらっしゃいますか?
ちょうどバースデイの日は、環境汚染問題のことでメールのやりをしていて、幸いにも自分の誕生日に何かできないものかと思ったりしていたときだったんで、そのやり取りが僕の誕生日の贈り物ということ!
━━今まで60年間という歳月を過ごしてきたなかで、いちばん大変だと思ったことは?
僕の人生の初期は“何とか健全に生きること”を考えるだけ精一杯で、今思えば本当に大変だったと思うよ。でも、今はここでこうして生きているだけで、ラッキーだと思っているよ。どちらにしても、あの当時のことを忘れることは決してないと思うよ。
━━60歳になった今は“心身ともに快適”と感じているのでしょうか?
僕はビーガン(菜食主義)で、長い間アルコールも口にしていない。それによく歩いてサイクリングを楽しむ、極めて健康的な生活を送っているんだ。メンタル面でいうと、今でも20歳のときと同じようにいつも何かに怒りを感じているけれど、でも今は自分の怒りをもっと生産的に処理できるようになっていると思うからね。
━━どのようなきっかけでテレビのお仕事をなさるようになったのですか?
事実上失業状態だったし(笑)、とにかく仕事が必要だったんだ。そして、アスペルガー症候群が持つ「抜群の記憶力」、「細かい部分への集中力」。「自然界への傾倒」という特性がテレビの仕事に向いていて、たまたま全てがプラスに働いたのだと思っているんだ。決して綿密に計画したというわけではないことは確かだよ。
━━もしご自分が昔の16歳に戻るこができて、その自分に何か伝えることができるようでしたら、自分に対して何と語り掛けると思いますか?
16歳の頃の僕は無鉄砲で、いつもギリギリの“崖っぷち”に立たされていたようなもの。だから“きっとトンネルの終わりには明かりがあるもの!”と言い聞かせると思うよ。もちろん、まれには光明な明かりさえ見えないこともあるかもしれない。
だから僕は自閉症や他の症状を抱えている人たちに、いつも手を差し伸べることができるように常に努力しているつもりなんだ。特に若い人たちは、将来のことを考える余裕もなくて、お先真っ暗で、先のことが見えなくなってしまいがちだから!
━━将来に関して何か不安を感じたりしていますか?
僕は機能的な役割を果たさなければいけない立場に置かれると、先のことが見えなくなってしまう傾向があって、同じような不安を抱えている人たちはたくさんいると思うんだ。そして、そういう人たちのことを考えると心配で、居ても立ってもいられなくなってしまうことがあるよ。
━━道端で見知らぬ人から話しかけられたりするようなことが、しばしばあったりしますか?
もちろん、そういうことはよくあるよ。僕は人と話をすることがあまり得意ではないので、彼らの方から僕のところに歩み寄って話しかけてくれることは大歓迎! そういう人たちと話をしていると、明らかに僕と同じように野生生活に情熱を感じていると分かるので連帯感を感じることが多いんだ。
WORDS © EMILY WHITWAM
PHOTOS © DAVID CUMMINGS
END.