━━ショービジネスに携わりながら、母親業を務めるのは大変ではありませんか?
ちょうどアメリーが1歳になった頃『キンキーブーツ』に出演していて、仕事ができることへの感謝と同時に母親としての“罪悪感”の板挟みになっていたことがあったの。だって子供はいちばん母親を必要とする時期ですものね。とにかくあの時期は2つのことを同時にこなさなければならなくて、心身共にとても疲れていたことを今でも覚えているわ。
でも、あの当時の経験から、私はただ母親でいるだけではなく、仕事も続けていきたいという自分の気持ちをより明確に持つことができたの。将来、娘にも仕事と家庭を両立させることは可能だということを、身を持って知らせる“ロールモデル”でありたいと思っているわ。
━━自宅学習は大変でしたか?
これを乗り越えるには自分自身を“軍隊モード”に切り替えなければならないと思ったくらい、それはもう大変だったわ! でも、アメリーは結構楽しんでいたようよ。たった一つの問題は、イーサンがアメリーの作品を破いたりすることで、どうやら彼はその音が大好きだったらしいわ。
━━タフな子育ての毎日をどのように切り抜けてきたのでしょうか?
毎朝7時起きで朝食を作り、子供たちが学校に行く前の準備をしなければならないわけで、とにかく毎日黙々と親としての役割をこなしていく必要があるの。でもこれは私に限らず、子供がいる人たちは誰もが通らなければならない関門のようなものだと思うわ。
━━誰か頼ることができる人が身近にいらっしゃるのでしょうか?
自分の子育ての悩みをできるだけ友達に打ち明けて、助けを求めるようにしているし、そうしていると結構支援の手が見つかったりするものなの。その辺のことは私のお得意分野でもあるの。
━━ご両親とはとても良い関係を築いていると聞いていますが。
私は一人っ子で、母方の祖母はアルツハイマー病を患ってまだ65歳という若さで他界しているし、父方、母方共に祖母と祖父はいなの。最近両親が近くに引っ越してきてくれたおかげで、パブで話をする時間もできたりして、私の人生もすっかり変わったというわけ!
━━(イギリスのメロドラマ)『エマ―デール』(Emmerdale)の中で10年以上に渡りドナ(ドナ・ウィンザー(Donna Windsor))役を演じていらっしゃいますが。
確かに! 何も知らないうちからこの世界に入って、そのまま契約が続いて仕事をしている内に、気が付いたら11年という月日が流れていたといった感じなの。そのことに初めて気が付いたとき、私はまだ23と歳という若さで、あの当時、今のようにソーシャルメディアがあったらと思うと、それこそゾッとするわ。
━━でも、名前が知られるようになって脚光を浴びる環境の中で成長したのではないかと思いますが・・・。それから拒食症と闘いながら38歳という若さで、今年4月にこの世を去ったニッキー・グラハム (Nikki Grahame)があなたの21歳のバースデイパーティーに顔を出したと伺っていますが、それは本当ですか?
そう、あれはリーズ(Leeds)にあるパークプラザリーズ(Park Plaza Leeds)だったわ。そのホテルに偶然ニッキーが滞在していて、彼女も立ち寄ってくれたの。当時の都会的でおしゃれな若者たちは皆ニッキーと私が友達だと思っていたようなの。
━━そのときのニッキーの状態について、もし差し支えないようでしたら少しお話ししていただけますか?
彼女の名前はちょうど『ビッグブラザー』(Big Brother)で有名になっていたし、ニッキーが会場に入って来たときは、皆が歓声を上げていたのを今でも思い出すわ。彼女は思いやりにあふれた優しい女性で、私たちはその夜意気投合して皆で一緒の時間を楽しんだの。
今思い出すと、まるでマドンナが会場に姿を現したように注目されて、きっとそのプレッシャーはかなり大きなものだったのではないかしら?
━━なぜ『エマ―デール』の出演を辞めようと思ったのですか?
ちょうどミュージカルのトレーニングがピークに達している頃で、ミュージカルという新しい舞台で自分の力を試してみたいという気持ちに駆られていたの。それでエージェントに『エマ―デール』の出演を辞退したいと告げることになったのだけれど、それを聞いたエージェントの人たちは皆びっくりしていたわ。
━━屋上でドナの最後のシーンを撮影したときの様子について、少しお話していただけますか?
スタントは使わずに全て自分で演じたのだけれど、完璧にやらなければと緊張して、体が石のように固くなってしまったのを今でも覚えているわ。それで、ちょうど『エマ―デール』と同じ監督のダンカン・フォスター(Duncan Foster)で山中の急激な崖で死ぬシーンを演じたティナ・マッキンタイヤー(Tina McIntire)といろいろ話をしてアドバイスをもらったのよ。
━━その後『エマ―デール』への出演のチャンスが残されていないことを残念に思い、少し寂しく思ったりしませんでしたか?
もちろん、そうしたチャンスを考えないわけではなかったけれど、でも脚本が私のイメージとはちょっと違っていたということもあったし、それにまさかソープアワード(Soap Award)を受賞するとは考えていなかったの。
━━そのときの共演者たちといまだに親しくお付き合いしているのでしょうか?
特にロス・バートン(Ross Barton)役のマイク・パー(Mike Parr)、ケイティー・スグデン(Katie Sugden)役のサミー・ウィンワード(Sammy Winward)、マーロン・ディングル(Marlon Dingle)役のマーク・チャーノック(Mark Charnock)、デビー・ディングル(Debbie Dingle)役のチャーリー・ウェッブ(Charley Webb)とは今でも大の仲良しで、今でも家族のようなお付き合いを続けているわ。
今回も皆揃って私が出演している劇場まで足を運んでくれて、特にチャーリーは撮影に関するアドバイスを含めて、「母親の意地を見せて!」なんて励ましてくれたりするのよ。皆には本当に感謝しているわ。
WORDS © CHLOE ALEXANDROU
PHOTOS © LORNA ROACH
STYLING: LORRAINE MCCULLOCH
HAIR AND MAKE-UP: LISA LAUDAT
Vol.3へ続く・・・。