ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)は、過去7年間、多彩なサウンドとユニークなスタイルでポップス界に革命を起こし、同世代で最も影響力のあるアーティストの1人として頭角を現してきました。
現地時間の7月下旬、彼女は「ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト」(Hit Me Hard And Soft)ツアーのチケット完売でイギリス中のファンを驚かせ、ファンや批評家から「素晴らしい」そして「常識を破る」パフォーマンスを称賛されました。
「ビリーは紛れもなく21世紀の音楽の流れを変えました」と、ビルボードUKの編集者トーマス・スミス(Thomas Smith)はOK!に語りました。「彼女は業界全体をひっくり返し、斬新で新しいものをもたらしました。」
多くの文化専門家が指摘するように、彼女の音楽 ― これまでに3枚のナンバーワンアルバムを含む ― は、あらゆる分類を拒絶するものです。「ビリーは特定のジャンルに属さないけれど、彼女の美しい声は、現代的でありながら、何十年も前の、あるいは未来の音楽のようにも聴こえるんです。」と、ITVニュースのアート編集者、ニーナ・ナンナー(Nina Nannar)は言います。
「彼女はテイラー・スウィフト(Taylor Swift)やサブリナ・カーペンター(Sabrina Carpenter)、あるいは他の誰とも違います。彼女はただ彼女らしく、自然と地球上で最も偉大なアーティストの1人になったように思えます。」
まだ23歳ながら、ビリーは数々の記録破りの偉業で歴史を築いてきました。まず、2019年、17歳にしてデビューアルバム『ホエン・ウィー・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?』(When We All Fall Asleep, Where Do We Go?)で全英チャート史上最年少の女性アーティストとして1位を獲得。
翌年にはグラミー賞(Grammy Awards)の主要4部門を一夜にして制覇した最年少アーティストとなり、2020年の楽曲『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(No Time to Die)では、ジェームズ・ボンド(James Bond)・シリーズのテーマ曲を作曲・演奏した最年少アーティストとなりました。
「あらゆる意味で、この仕事に携われるなんて信じられない気持ちです。」と当時彼女は語っています。
それだけでは十分ではなかったかのように、この曲は後に彼女にアカデミー賞(Academy Awards)歌曲賞をもたらし、2023年の映画『バービー』(原題:Barbie)の主題歌『ホワット・ワズ・アイ・メイド・フォー?』(What Was I Made For?)も同様にアカデミー賞を受賞しました。
うつ病、不安、ボディ・イメージ、気候変動といったテーマに取り組むビリーは、インタビューや楽曲の中で率直に発言することを恐れていません。しかし、ニーナが示唆するように、「彼女は残酷なほど正直であろうとしているわけではなく、ただ頭の中にあることを言っているだけです。
世界の指導者たちに失望した新しい世代が、代わりの道と真実を求めていたまさにその絶好のタイミングで、彼女は現れました。そしてファンは、『ああ、彼女は本物だ。私たちは彼女を信じています』と感じたのです。」
ブリット・アワード(Brit Awards)を主催する英国の音楽団体BPI(英国レコード産業協会)のジェンナーロ・カスタルド(Gennaro Castaldo)も同意見です。
「彼女は自分の考えをしっかりと持ち、強い独立心を持っています。それが彼女に反体制的で型破りな雰囲気を与えています。同時に、ある種の脆さも持ち合わせています。こうした資質が若い音楽ファンの共感を常に集めてきたのです。」と彼は言います。
Words © Anna Pointer / OK! Magazine
Photos © Nicky Nelson / Wenn
後編へ続く・・・。