━━現在女王(エリザベス女王(エリザベス2世:Elizabeth II))は歩行が困難になっていらっしゃると伺っていますが、そのような状況でどのようにバルコニーに上がられたのでしょうか?
女王がバルコニーにお立ちになれるよう、万全な体制を整えていたはずです。クレイゴワン・ロッジ(Craigowan Lodge)にはリフトを用意しましたし、パレス内にも同じような設備が整えられていたものと思います。女王は“杖”を使うことに抵抗を感じられていらっしゃらないので、車いすの使用も快く受け入れられるはずです。
女王のお母様は“体力が弱ったご自分の姿を国民の前に見せることを極端に嫌っていらして、“騎手の制服の色”に塗りつくした電動式カートができるまで” は、公の場に姿をお見せになることは滅多にありませんでした。
━━この式典を境に、女王のお姿を公の場で拝見する機会が徐々に少なくなってくるのではないでしょうか?
今は王室にとっての過渡期で、そうした動きは既に始まっているかと思いますよ。もちろん、今すぐ女王が引退なさるということではありませんが、今までのように全ての王室行事の場で女王のお姿を拝見するようなことはなくなってくると思います。恐らく女王が後援するチャリティーとは関わりを持ち続けると思いますし、各国大使たちとのZOOMミーティングに参加なさるようなことはあるかと思います。
これからはきっと、公の場では見せることがなかった、もっと“私的”なお姿を拝見する機会が増えるのではないでしょうか? 女王はご自身の女王としての役割を楽しんでいらっしゃいますので、基本的には引退はなさらず、女王としての責務を全うなさることでしょう。
━━女王はとても健康そうにお見受けしますが、健康維持のために何か特別な食生活を心掛けていらっしゃるのでしょうか?
どちらかというと“粗食”で、たとえばお腹にやさしいシーフードやガーリックなどの新鮮な素材で用意されたシンプルなお食事を好まれるようです。ラム肉やサーモン、ヒラメなどがお気に入りのメニューと伺っています。
━━女王が、いつも重宝なさっている“お気に入り”のものがあるのでしょうか?
膝を覆うひざ掛けは重宝なさっているようで、体を温める道具の1つとしていつも馬車の中にはお湯を入れたボトルと一緒に持ち運んでいるようです。
━━女王の“死ぬまでにやっておきたいことのリスト”を挙げるとしたら、それは何だと思いますか?
「ジェームズ・ボンド(James Bond)を2012年ロンドンオリンピックのデモフィルムで紹介されたご自身の居間に、再び招待すること」、それから「ご自分の馬がダービーで優勝すること」が挙げられるかもしれませんね。残念ながら、今年は女王が所有なさる馬は3頭すべてが引退してしまい、その夢がかなうことはないようですが。
━━BBCでお仕事をなさっていた現役時代に、女王とお会いする機会が度々おありになったかと思いますが、ご自身の貴重な経験について少しお話していただけますか?
女王はとてもチャーミングな側面をお持ちですが、四季ごとに折に触れて女王に謁見する機会があった私のようなベテランジャーナリストでも、やはり女王との対面は緊張するものです。ご挨拶だけで、口を閉ざして何も言わない記者も一部にはいましたが、私はいつも何か一言お話しさせていただきました。あるとき、「女王のウエディングドレスを展示会で拝見して、そのウエストの細さに驚いたことや、女王のスタイルの良さに感心したこと」などを率直にお話ししたことがあったのですが、その時の女王は“満更でもない”ご様子でした。
━━女王の統治の歴史の中で、あなたの視点で「女王が最もお気に入りと思われる10年」を挙げてみていただけますか?
それは“既に女王としての経験も積み、任務に慣れて、チャールズ皇太子(ウェールズ公チャールズ(Charles, Prince of Wales))やアン王女(プリンセス・ロイヤル・アン(Anne, Princess Royal))の誕生から10年後にアンドルー王子(ヨーク公爵アンドルー王子(Prince Andrew, Duke of York))やエドワード王子(ウェセックス伯爵エドワード王子(Prince Edward, Earl of Wessex))も授かっている60年代”ではないかと思います。最初の2人の子育てに比べると、多忙な公務と母親としての時間をうまく使い分け、その母親ぶりにもかなりリラックスした側面が感じられます。若干25歳で即位なさり、その後2人の子供の子育てと海軍勤務を続けたいと思うご主人との狭間できっと悩まれることも数多くあったのではないでしょうか?
━━チャールズ皇太子のもとで王室は近代化すると思われますか?
チャールズ皇太子の統治はそれほど長くはありませんし、その間に自身のレガシーを残したいと思うチャールズ皇太子の思惑の中で、王室の縮小化を含めきっと急速な変化を遂げる日がくるのではないかと思います。さらにその後に続くケンブリッジ侯爵時代になると、“王室のスタイル”そのものに変化が生じることが考えられます。2人はすでに国民にプリンスやプリンセスのタイトルを外し、跪いた礼やお辞儀は取り除いて、ウィリアム(ケンブリッジ公ウィリアム王子(Prince William, Duke of Cambridge))やケイト(ケンブリッジ公爵夫人キャサリン(Catherine, Duchess of Cambridge))で呼んでほしいと言っています。最近の子供たちのイベントでも“両足を組んで床に座って子供たちと戯れる” 2人の姿に、国民はきっと王室に対して親近感を感じているのではないかと思います。
Words © Polly Brown
Photos © Lorna Roach / OK! Magazine
Vol.3へ続く・・・。