オーストラリア出身の名女優ケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)の演技が称賛されるのは、そう珍しい話ではないが、その気さくで気取らないケイトの人柄には実に驚かされるものがある。そして、そんなケイトはかつてのインタビューの中で次のようなコメントを残している。
「私は昔からこの仕事を続ける上で、特にこれといった目標があったというわけではなかったの。でもただ同じような関心事を持つ人たちと楽しい仕事を共有したいと思いながら今までこの仕事を続けてきたような気がするわ。」
1998年米公開の映画『エリザベス』(Elizabeth)のエリザベス1世(Elizabeth I)から2015年米公開の映画『シンデレラ』(原題: Cinderella)の継母のトレメイン夫人(Lady Tremaine)まで幅広い役柄を見事に演じ、2度のアカデミー賞、さらにそれぞれ3度に渡る、英国アカデミー賞(BAFTA)、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞(SGA)受賞の栄誉に輝くケイト(53歳)は、それだけでは物足りないとばかりにオーストラリア市民にとって最高の栄誉とされる勲章「コンパニオン・オブ・ジ・オーダー・オブ・オーストラリア(The Companion of The Order of Australia)も手に入れている。
そして数々の成功を手にした今でも、女優そしてプロデューサーとして地道な道を歩み続けるケイトは自身のキャリアについて「演劇学校を卒業したときは映画の道に進むことなど全く念頭になかったし、あの頃の私はひたすら舞台女優を目指していたの。だから映画の仕事に携わることは、私にとって今でも“思いがけない喜びとの出会い”のようなものなの。」と感慨深げなコメントを残している。
しかし演劇学校時代の夢が実るまでの道のりは、ケイトにとって必ずしも順調なものではなかったという。オーストラリア人の母親とアメリカ人の父親の間に1969年メルボルンで生まれたケイトは、わずか10歳で父親を亡くしている。
そして、その当時の心境について「周囲には私が女優になりたいと思った理由について、父親を早く失ったことと結びつけたがる人たちがたくさんいるようだけれど、私に関して言えばそれは当てはまるセオリーではないの。」とコメントするケイト!
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後編へ続く・・・。