昨年、オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)が司会を務める全米ネットワークテレビ番組『オプラ・ウィンフリー・ショー』に出演したガガは、そのインタビューを通して、自分がレイプの被害者として過去15年の間、いかに苦しんできたかという思いを次のように告白している。
「私は19歳のときに繰り返しレイプの被害にあっているの。そしてその結果“心的外傷後ストレス障害(PTSD)”を引き起こして、その後にも適切な治療をしなかったために、長い間そのトラウマを引きずることになってしまったの。
そして、自分がスターとしての地位を手に入れて世界中をツアーで周り、ホテルの部屋からガレージ、リムジン、ステージへの行き来をするだけという繰り返しの生活で、レイプを受けるリスクさえないような生活を繰り返す中、ある日突然、かつて自分がレイプを受けた後に感じた、信じられないほどの病的な強い痛みを感じる状況に陥ってしまったの。
その経験が自分の人生、世界、さらに業界に対する私の複雑な感情と入り混じって、それまで真実を隠して妥協し続けて生きてきたことのしっぺ返しが、実際の症状として表れてきてしまったというわけなの。」
しかし、今から2年前、あまりに有名になってしまったことから受ける不安や、自己喪失感に圧倒されてガガの“心的外傷後ストレス障害(PTSD)”は、ますます悪化してしまう。
周囲の目は、アカデミー歌曲賞を受賞して成功を収め、エキゾチックな装いに身を包むガガを見て、“ガガはきっと世界の頂点に立ったような気持ちに違いない”と想像する中、ガガは心の奥底で今にも窒息しそうになる思いを抱え、本来の自分の姿を闇の中に包み隠してしまう結果となる。
その当時の心境についてガガは、自身に降りかかった人生の試練を次のように述べている。
「あの当時の私は、人生の全てを諦めて自分の殻に閉じこもってしまっていたの。有名になることもスターになることも全てが無意味で、自分がまるで使い古されたような雑巾のような気持に陥ってしまったの。
だから過去数年間、一番の私の敵はレディー・ガガだったというわけ。
だって、普段の買い物にも行けない、自分が有名であるがゆえに、常に世間の注目を浴びて家族に会いに行くことさえできないんですもの。
でも、もう立ち上がることもできないと思い、ひたすら落ち込んでいた私を支えてくれる人たちが、ここ2~3年の間、常に私のそばにいてくれたことで、きっと私は守られていたのだと思うわ。
今は何とか事態も改善されて、以前のような落ち込んだ気持ちはなくなったけれど、ここ2年半の過酷な経験を乗り越えなければ、きっと今の私はいないと思うわ。」
しかし、そうした紆余曲折を経た後、現在のガガはかつてないほど力強く自信に満ち溢れた自分を取り戻しているという。そして、新型コロナウイルスのパンデミックが今年末には終息を迎えることを期待し、そのときには再び世界ツアーを展開したいと考えている。
さらにガガの活躍は留まるところを知らず、昨年末は自身が執筆した『チャンネル・カインドネス:ストーリーズ・オブ・カインドネス・アンド・コミュニティ(Channel Kindness : Stories of Kindness and Community)』を世に送り出している。
ちなみに、この著書は彼女のファンから寄せられた数多くのストーリーが紹介されているという。トンネルの先に明かりを見出したガガは自分が生み出した心の中に潜む悪魔を今一度、さらに永遠に追い払い、再び希望に満ちた人生のスタートを切ろうとしている。
ガガいわく「今の私は本来の自分を取り戻して、やっと自分を愛することができるようになったと自信を持って言えるわ。だからもう決してレディー・ガガを嫌いになるようなことはないと思うの。
自分がこんなに高揚した気持ちになることはもう二度とないだろうと思っていたけれど、今の私はピアノを見ると自然に音楽と会話を交わして、自分の詩をつくってみたいという思いに駆られるようになったの。」
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END.