スーパースターが下した“事前“の決断
両乳房切除手術を行ったアンジェリーナ・ジョリー
“決断して良かったわ!”
両乳房切除手術の苦難を明かしたアンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)の勇気が、世界中から賞賛を集めている。“欠陥のある”BRCA1遺伝子を持っていることを知った後、どのように予防的な処置を行ったのかを語ったオスカー賞(アカデミー賞(Academy Awards))受賞者のアンジェリーナ。“私の医療選択(My Medical Choice)”と題されたニューヨークタイムズ紙(The New York Times)への記事で、アンジェリーナは落ち着いた様子で、ありのままに、その遺伝子のせいで癌が発症・進行する可能性が高いということを説明した。
「かかりつけの医師は、個人差はあるものの、87%の確率で乳癌、50%の確率で卵巣癌になるリスクがあると言っていたわ。」と話すアンジェリーナ。
6人の子供を持つアンジェリーナは、56歳で卵巣癌により亡くなった母親のミシェリーヌ・ベルトラン(Marcheline Betrand)の不慮の死が予防的な手術を決断させたと語る。
子供たちに関しては、「私達は“ママのママ”についてよく話をするんだけど、気がつくと自分の母がどんな病気で亡くなったのかを説明しようとしているの。子供たちは、私が同じ病気になるのかどうか聞いてくるわ。いつも心配しないでって言ってきたけれど、本当は乳癌や卵巣癌のリスクをとても高める欠陥遺伝子を私は持っていたのよ。」と話している。
現地時間2月2日に処置を開始したというアンジェリーナは、人生を変えるような行為ではあるものの、他に選択肢はないと感じていたという。「これが自分の現実だって理解したら、予防策をとって、出来る限りリスクを下げようって決断したわ。卵巣癌より、乳癌の方がリスクは高いし、手術も難しいから、胸から始めることにしたわ。」と語っている。
乳管に病気がないかを確認し、乳首を残す可能性を高めるためにも“乳首の切除手術の延期”があったと手術の概要について説明するアンジェリーナ(37歳)。
「2週間後、胸の組織を取り除き、一時的なインプラントを入れる大手術が行われて、それに8時間要したの。胸に管と拡張器がついた状態で目が覚めるのよ。SF映画みたいだわ。でも手術が終わってしまえば普段の生活に戻れるの。」
組織を取り除くための初めの手術から、インプラントを入れて、再建の手術をするまでの全工程がたったの9週間しかかからなかったことで、処置の安全性と効率を確実なものとしてくれる現代医療の発展を称えるアンジェリーナ。「手術の痕はきれいなものよ。」と話す。
手術は成功し、医師によれば乳癌になる可能性は5%を下回ったとのこと。
簡単に下した決断ではなかったというものの、映画「ソルト(Salt)」に出演する彼女は、自分が公表をすることで、他の女性が同じように難しい選択をするのに役立ちたいと考えており、「他の女性が私の経験から得るものがあればと思い、手術に関して執筆しているところよ。乳房切除手術を決意することが簡単なものではないことを他の女性に伝えるために書きたいの。でも、この手術は、私がやってとても良かったと思える事の1つよ。」と話している。
その著書の中で、ハリウッド俳優の夫、ブラッド・ピット(Brad Pitt)が苦難の中、絶えず頼れる存在でいてくれたことを褒めるアンジェリーナは「私は、本当に愛のある献身的なパートナーを持つことができて幸せよ。治療を受けたピンク・ロータス・ブレスト・センター(Pink Lotus Breast Center)でも手術の間ずっといてくれたの。2人で一緒に笑える時間を見つけたのよ。」と語る。さらにフィアンセの強さと勇気を称えたブラッド。感動的な話の中で、「決断と直接向き合った時、僕はアンジー(Ange(アンジェリーナの愛称))の選択が、多くの人達と同じように、本当に勇敢なものだと思ったよ。」と話した。
母親の役割もこなすアンジェリーナは、すぐに、マドックス(Maddox)(11歳)、パックス(Pax)(9歳)、ザハラ(Zahara)(8歳)、シャイロ(Shiloh)(6歳)、双子で4歳のノックスとヴィヴィアン(Knox and Vivienne)にしっかりと事情を伝えたという。「子供たちは、私の小さな傷痕を見たけれど、それだけよ。それ以外、ママはいつもと変わらないママなの。」
彼女の話が公になった時には、多くのハリウッド・スターが彼女に暖かなメッセージを送った。乳癌と闘病した歌手、シェリル・クロウ(Sheryl Crow)は「アンジェリーナの勇気と自分の切除手術の経験をシェアしようとする思慮深さは素晴らしいわ。すごく勇敢よ!」と話した。さらにUSA・エンターテイメント・ニュース「E!」のレポーターで、彼女と同じ処置を行ったジュリアナ・ランチック(Giuliana Rancic)は、アンジェリーナを“誇り”に想い、“女性を導くための素晴らしい行動”を嬉しく思っているとコメントした。
多くを考えさせられる記事を書き終えた彼女は、体験を公にする理由について、自分の健康に関して事前策を講じ、今後の懸念となることへ正面から向き合うよう、世界中の何百万という女性を奮い立たせるためだと話す。
「自分の話を個人的なものに留めることはやめたの。だって、癌の危険にさらされながら生きているかもしれないという事に気付いていない女性がたくさんいるもの。彼女達も遺伝子テストを受けることができるようになるのが私の願いだわ。人生にはたくさんの困難が待っているけれど、私達が脅かされる必要の無いものは、自分達でどうにかコントロールが出来るものなのよ。」