作家のダン・ベットナー(Dan Buettner)が2000年代初頭“どのようなライフスタイルと生活環境が人生長生きの秘訣なのか”について調査を始めたところ、世界中で“センテナリアン(ズ)(centenarian(s))”と呼ばれる“100歳以上で健康に生きている人たち”の人口比率が一番高いといわれる5つの地域を特定し、彼はそうした地域を“ブルーゾーン(Blue Zones)”と呼んでいる。
さらに、このブルーゾーンで生活する人たちは“心臓病”、“糖尿病”、“癌”の発生率が低いということも判明している。
その5つの地域とは、①「イタリア:サルデーニャ(Sardinia)」、②「日本:沖縄」、③「米国:カリフォルニア州ロマリンダ(Loma Linda)」、④「ギリシャ:イカリア島(Ikaria)」、⑤「コスタリカ:ニコヤ(Nicoya)」であるが、5つの地域が世界中に散らばっていることから、ベットナーと彼の研究チームはさらに研修を進めた結果、長寿者が“かくしゃくと100歳を超えて生きるための9つの共通の食習慣と生活習慣”を見出している。
①. 自然な運動
センテナリアンと呼ばれる人たちはマラソンや、ジムで行うヘビーウェイトリフティングのような過激な運動より、毎日のウォーキング、庭の手入れ作業、通常の家事などを含め、毎日の生活の中で身体を動かす自然な運動を継続している。
②. 小さなコミュニティ
ブルーゾーンに属する人たちは、自分たちと同じように健康的なライフスタイルを実践している人たちと社会的な繋がりを持つ傾向がある。研究によると“喫煙”、“肥満”、“幸福感”、“孤独感”は伝染しやすいものだということが証明されている。
沖縄に住む人たちはさらに一歩進んだ考えを持っていて、“モアイ(Moai: 模合)”という5人1組のグループを形成し、生涯を通して互いに信頼し合い、献身的な関係を結んでいるという。
③. シフトダウン(低速ギアの生活)
ストレスは人生につきものであるが、センテナリアンたちは、メディテーション(瞑想)、祈りの時間、グラス1杯のワインなどを通して、毎日必ずストレスから解放され、リラックスする時間を設けるようにしている。
④. 80%ルール
調査の結果、ブルーゾーンに属して生活している人たちは、食事のときはいつも“腹八分”で済ませるということが分かっている。
満腹は飽食を越えたものであり、“腹八分”を実践することは肥満体質を避ける役割を果たしてくれる。
また、ブルーゾーンの人たちは、午後の早い時間帯か、夕方に少量の食事を心掛け、それ以降は翌日の朝食まで食べ物を一切口にしないような摂生した食生活を送っている。
⑤. 自家栽培の産地食材と生鮮食品や新鮮な農産物
ブルーゾーン・ダイエットに欠かせない鍵は、新鮮な産地食材や生鮮食品、そして食物繊維を大量に含んだ食材を使用した食生活を維持することである。さらに赤身の肉は3~4オンス(約85g~110g)で、トランプカードくらいの大きさのものを月に5回くらいしか口にしない。
⑥. ワインタイム
ブルーゾーンに属する人たちのほとんどは、食事の際にグラスに1~2杯のワインを嗜んだ食生活を楽しんでいる。また、1日1回のティータイム習慣を取り入れ、彼らが糖分をたっぷり含んだソフトドリンクを飲んだりするということは聞いたことがない。
⑦. 隣人や愛する人を大切にする
ブルーゾーンに属する人たちは、自分のことはさて置き、常に友人や家族のことを一番先に考える特徴がある。これは年老いた両親や祖父母の近くで生活したり、自分たちの手元に引き取って同居したりする人たちが多いという傾向を意味している。結婚して子供をつくるという人生を選択し、老後も子共と一緒に生活できるような人生を送ることができる。
⑧. 仲間
ブルーゾーンの人たちのほとんどは、互いに信頼し合うことができるコミュニティを形成し、それぞれそのコミュニティに属した生活を送っている。仲間同士で目的意識を持って生きることは平均寿命を4年から14年延ばす役目を果たすということが証明されている。
⑨. 生きがい
沖縄人たちの“生きがい”、や二コイアン(コスタリカ、ニコヤ半島の人たち)の“プラン・デ・ヴィダ(Plan de vida)-ライフプラン”のような言い回しがあるが、これは自分たちが毎日の目標を持ち、生きる目的を知っているという意味である。
Words © Yasmin Griffiths
Photos © Mirrorpix
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