━━医師としての立場から、今回の出産をどのように考えているのでしょうか、トム?
トム:それが「ほんのわずかの知識の聞きかじりは決して良いことではない。」という、どこかで聞いたようなセリフを改めて身を持って体験したような気がするよ。実は昔、産科で働いた経験があるんだけれど、“悪い結果”と“リスク”だけが頭の中に残って、心配だけが先走ってしまったんだ。もちろん、ほとんどの場合は何事もなく無事に出産するものだと知ってはいたけれど! ところが、分娩室の中の雰囲気は僕にとっては馴染みが深いものだから、いざという場面では結構リラックスしていたと思う。もちろん、医師としてその場に立ち合ったわけではないけれど、いざ分娩室に入ったら、“仕事場にいる”ときと同じような気分になって全てを忘れて集中していた気がするよ。
━━リリア出産の8週間後には既に“氷上”に戻って仕事を開始しているわけですよね、イェビン?
イェビン:スケートに携わる仕事が大好きだし、早く戻りたいと思っていたときに『ダンシング・オン・アイス』から連絡が入って“番組への復帰は可能かどうか”という打診があったの。そのときはもう自分の心の中で準備が整っていると感じていたので、2つ返事でスタジオに戻ったというわけ! 今は本当に仕事を楽しませてもらっているわ。
トム:実は番組が続いている間に、あと2~3のシーンにプロとして参加したいと思っているんだ。2人とも今年はフルタイムでの関りは難しい状況だけれど、でも今までの仲間と再び会って仕事を楽しむことができるなんて、まるで夢のようで本当に嬉しく思っているよ。だから、これから先も、チャンスがあればいつでも積極的にチャレンジしていきたいと思っているんだ。
イェビン:私は、来年はもしできればフルタイムでカムバックしたいと思っているわ。
トム:僕の場合は、いつも“いかにパートナーと合わせてスケートをするか”ということが課題なので、そこが大変なところかもしれない。でも、プロとしてスケートの仕事に携わることはとにかく楽しいし、できればこれからも続けていきたいと思っているんだ。
━━イェビン、昨年は大怪我を負ってショーに出ることができなくなってしまったわけですが、現在の状況はいかがですか?
イェビン:今は痛みも全くなく、完治している状況よ。でも、リハビリを始めた5週間後には、とにかくリハビリ中に強い痛みを感じて、自分でも“本当に復帰して元の状態に戻ることができるのかしら?”と心配でならなかったの。そして、どんなに痛くてもやり通した結果、何とか復活の道に繋がったというわけなの。トレーナーを含めて周囲の人たちが“ゴーサイン”を出したと同時に“氷上”に戻ったという感じだったわ!
━━復帰後は、かなり緊張したのではありませんか?
イェビン:いいえ、それはないわ。あれは本当に“予期せぬ”事故で、誰にでも起こり得ることだったと思うの。グラハム・ベル(Graham Bell)は最も強靭でバランスが取れたスケーターの1人で、とにかくあれは突然起きた不慮の出来事としかいえないわ。本当に考えられないような話だけれど、あのときは前につんのめって倒れたグラハムの上に私が倒れて、彼のスケートブレードに私の足が当たって腱が切れてしまったの! もちろん、あのときは本当に痛かったけれど、でも考える暇もなく彼と一緒に戻って2人で最後のポーズを決めたというわけ!
━━今年のショーでは誰がフロントランナーになると思いますか?
イェビン:絶対にキンバリー・ワイアット(Kimberly Wyatt)だと思うわ。ダンスの技も抜群だし、踊るときの表情も自信に溢れているもの。それに、彼女にとってはマーク・ヘンレッティー(Mark Hanretty)という素晴らしいパートナーに恵まれていることも大きな強みだと思うわ。だから私の一押しは今のところキンバリーなの。
トム:確かに、キンバリーとマークのスケーティングはとても似通っているし、2人揃って踊る姿は本当に息もピッタリといった感じ! 実は僕はその他にもブレンダン・コール(Brendan Cole)も素晴らしいと思っているんだ。彼のパートナーのヴァネッサ・バウアー(Vanessa Bauer)ともピッタリと相性が合っているしね。それに、ブレンダンの上半身の強さには目を見張るものがあるし、“あのストリクトリー(Strictly)(『ストリクトリー・カム・ダンシング』(Strictly Come Dancing))で鍛えた強い腕で何でもこなしてしまうような気がするんだ。”スケートの部分さえしっかりと仕上げれば、彼らもかなり強靭なチームだと思うよ。
━━オティ・マビューズ(Oti Mabuse)を審査員に迎えることについては、どう思いますか?
イェビン:きっと素晴らしいパネルの1人になると思うわ。オティが持つエネルギーが豪華でメリハリの利いた雰囲気をもたらしてくれると思うし、彼女の審査の見どころとコメントを是非聞いてみたいと思っているわ。
トム:僕も女性の審査員が増えることは大歓迎! それに彼女の『ストリクトリー・カム・ダンシング』での経験は、新しく異なった視点を持ち込むという意味でもとても素晴らしいことだと思うよ。実は、今僕は“新しく誰か他のスケーター”を審査員に迎えてもよいのではないかと思っているんだ。ジェーン・トービル(Jayne Torvill)とクリス・ディーン(Chris Dean)は長年一緒に時間を過ごしていて、物の見方も似通っている。だから“ちょっと異なった視点で審査をする5人目の審査員”がいてもよいのではないかな!
WORDS © KIRSTY HATCHER
PHOTOS © RACHEL JOSEPH
STYLING: RYAN KAY , HAIR AND MAKE-UP: SALLY ROWE
Vol.3へ続く・・・。