ビーナス(Venus)とセリーナ(Serena)、ウィリアムズ(Williams)姉妹のメンター、コーチ、そして父親であるリチャード・ウィリアムズ(Richard Williams)がどのようにして伝説の姉妹をつくりあげたのかを物語る伝記映画『ドリームプラン』(原題:King Richard)(アメリカ公開2021年11月19日)(日本公開2022年2月23日)が公開となり、世界中のウィリアムズ姉妹のファンは首を長くして上映の日を待ちわびていたに違いない。
1990年代初期、この伝説の姉妹がテニス界に大きな旋風を巻き起こして以来、この2人をテニス界の頂点に君臨する女王へ導く指南役を務め続けた父親の影響は絶大なものである。
ウィル・スミス(Will Smith)がリチャード役として主演を務めるこの映画は、2人の姉妹が映画作りのプロセスに関わったという事情もあり、かなりの時間を掛けてやっと完成の日の目を見た作品だという。
映画の中でセリーナは「まるで夢のような気持ち! あまりにも素晴らしくて、言葉に表すことができないわ!」と語り、ビーナスは「とても感動で、これ以上喜びに満ち溢れた気持ちになったことはないわ」と、それぞれの感想を述べている。
2人の弛まぬ努力の道筋を振り返ると姉妹の人生の成功への代価の大きさには目を見張るものがある。そう、ウィリアムズ姉妹は過去20年に渡り、121のシングルトーナメントと4つのダブルトーナメントを制し、それぞれが4つのオリンピックでゴールドメダルを手にしたという史上最も大きな成功を手にしたテニスプレーヤーである。
しかし、成功までの道のりはそう容易いものではなく、この2人の姉妹もまた、世界の他の有名スポーツ選手同様、生きる道すがら、人生に大きな犠牲を払うことを余儀なくされている。
「ビーナス・エボニー・スタール(Venus Ebony Starr)」と「セリーナ・ジャメカ(Serena Jameka)」は、それぞれ1980年と1981年にカリフォルニア州リンウッドで生まれ、母のオラセン(Oracene)と父親のリチャード、さらに母が最初の結婚で設けた子供たち、イェツンデ(Yetunde)、アイシャ(Isha)、リンドレア(Lyndrea)と大家族に囲まれて生活する幼少期を送っている。
2014年に発売されたリチャードの自伝『ブラック・アンド・ホワイト(Black And White)』の中で、ある日テレビでテニスマッチを観戦しているとき、トーナメントのディレクターが若干25歳のプロテニスプレイヤーに$40,000(約400万円)のチェックを渡すシーンを見て、まだ生まれてもいない子供たちをテニスプレーヤーに育てようと、心の中で密かに決めていたと書き綴っているリチャード!
その後リチャードは自分の意志を貫き、ビーナスとセリーナ姉妹がラケットを握ることができる年になると同時に、どんなことがあろうと、2人の姉妹に毎日3時間から4時間のテニス訓練を課していた。そして1991年になると、一家はリック・マッチ(Rick Macci)が運営するテニスアカデミーに参加するため、カリフォルニア州ロサンゼルスのコンプトン地区からフロリダ州へと居を移している。
Words © Rhona Mercer
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後編へ続く・・・。