1981年に2人の初コレクションを発表し、その後5シーズンに渡り共に活動を続けたヴィヴィアンとマルコムだが、その関係も結局は破局を迎えることになる。
その原因についてヴィヴィアンは次のように述べている。
「一緒に活動を続けていくうちに、彼は私に嫉妬するようになって、例えば“彼女は単なるお針子のようなもので、もし僕に会っていなければヴィヴィアンというデザイナーは存在していないも同然なんだ。”というようなことを平気で言うようになってきたの。」
しかし、マルコムの言葉に反して、誰からの援助も必要としないヴィヴィアンは1992年、その功績を称えられ、見事“OBE(大英帝国勲章:Order of the British Empire)”を受勲している。
女王陛下列席の下、バッキンガム宮殿で開催された受勲式会場に典型的なパンクスタイルで参列したヴィヴィアンの姿を写した写真が残っていて、そのときを懐かしく思い出すように次のようにコメントするヴィヴィアン!
「あのときは、くるくると大きく回るスカートを思いっきり表現したかったの。ところが、結果的には期待以上に優雅なシーンを披露できたというわけなの。女王はその写真をご覧になって、とてもお気に召されたと聞いているわ。」
その後も仕事の成功と共に私生活でも幸せを手に入れたヴィヴィアンは現在の夫、アンドレアス・クロンターラー(Andreas Kronthaler)(55歳)と、自身が教鞭を取る“ウィーン応用美術大学(the Vienna School of Applied Art)”で出会い、教え子の才能に惚れ込み、25歳という年の差をものともせずに恋に落ちた彼女は、知り合った翌年にロンドンに移り住んだアンドレアスと1993年に結婚している。
そして、ファッション業界への功績を認められたヴィヴィアンの名は、2006年の「ニュー・イヤーズ・オナーズ・リスト(New Year’s Honours List)」に記載されるだけではなく、「ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤー(British Designer Of The Year)」でも2度に渡りその名が呼ばれる栄誉に輝いている。
ちなみに、“ニュー・イヤーズ・オナーズ・リスト”は、イギリス国内で偉大な業績を築き、社会貢献に寄与した人たちの名が記載された政府機関が発行するリストである。
また、彼女の作品は、2008年に公開された同名ドラマの映画版『セックス・アンド・ザ・シティ』(Sex and the City)の中で、祭壇での誓いの直前、花婿のミスター・ビッグ(Mr. Big)に突然結婚を破棄されたキャリー・ブラッドショー(Carrie Bradshaw)が身に着けた、“ド派手”なウエディングドレスとしても紹介され、今でも、記憶に残るシーンとして語り草になっている。
さらに、パンク・ファッション・デザイナーとして知られる彼女の作品は王室メンバーにも愛用され、2011年のケンブリッジ公爵夫妻(ケンブリッジ公ウィリアム王子:Prince William, Duke of Cambridgeとケンブリッジ公爵夫人キャサリン:Catherine, Duchess of Cambridge)のウエディングの際にユージェニー・オブ・ヨーク王女(Princess Eugenie of York)が身に着けて出席している。
4000万ポンド(約60億円)の価値といわれるブランドの創始者ヴィヴィアンは、今年で節目の80歳を迎えた今もなお、ロンドン・ファション・ウィークで2021年冬のコレクションを披露し、その活躍ぶりは衰えを知らない。
また自身のファッションプラットフォームを通して気候変動、核兵器廃絶、不法監禁問題など、心の琴線に触れる社会問題のキャンペーン活動にも力を入れているというヴィヴィアン!
OK! は、真のパイオニアとしてファッション界の進歩、改革に身を捧げ続けるデイム・ヴィヴィアンに心から喝采を贈りたい。
Words © Georgia Trevitt
Photos © WENN.com
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