スーパーヒーローを演じるという長年の夢をついに実現したピアース・ブロスナン(Pierce Brosnan)だが、ドウェイン・ジョンソン(Dwayne Johnson)がタイトルロールで主演したDCコミックスの大ヒット映画『ブラックアダム』(原題:Black Adam)(日本公開2022年12月2日)の中で、ブロスナンはカリスマ的な魔術師ドクター・フェイト(Doctor Fate)と、彼の分身で考古学者のケント・ネルソン(Kent Nelson)の2役を演じている。
『ジャングル・クルーズ』(原題:Jungle Cruise)でジョンソンと共演したジャウム・コレット=セラ(Jaume Collet-Serra)監督の『ブラックアダム』は、推定約2億ドル近くの制作費を投じ、映画史上最も高価な映画の1つと言われる大作で、イギリスでは10月21日から上映されている。
『ブラックアダム』の成功を牽引したのはジョンソンで、彼はこの『ブラックアダム』が次のハリウッド映画のフランチャイズ作品になると期待している。彼の役柄は、5000年後に復活することを約束され、太古の昔に起きた彼の家族の死への復讐を誓うという、どちらかというと“暗いイメージを持つ”スーパーヒーローとして紹介されている。
ブロスナン演じるドクター・フェイトは、ブラックアダムの略奪的なやり方を封じ込めるために、ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ(JSA-Justice Society of America)から派遣された、ホークマン(Hawkman)(オルディス・ホッジ:Aldis Hodge)、サイクロン(Cyclone)(クインテッサ・スウィンデル:Quintessa Swindell)、アトム・スマッシャー(Atom Smasher)(ノア・センティネオ:Noah Centineo)の3名が名を連ね、フェイトはそのリーダーとしてチームの仲間を率いている。
『ブラックアダム』に出演することになったのは、ブロスナンがバットマンのマント衣装をからかうコメントを発してから30年以上経ってからのこと! 最近出演したジミー・ファロン(Jimmy Fallon)の深夜トークショーの中で、当時を振り返りながら、ティム・バートン(Tim Burton)監督との因果な出会いについて、ブロスナンはジョーク交じりに次のようなコメントを発している。
「ティムはちょうど2作あるバットマン映画の最初の作品の監督を務めようとしているところで、マントやカウル(頭巾付き外衣)、その他のアクセサリーを身に着ける男を探していたところだったんです。そして、その出会いの場で僕は、ティム・バートンに『ズボンの外にパンツを履くなんて、全く理解できないよ』というような実に愚かな言葉を口にしてしまったことを今でもよく覚えているんです。結局、バットマン役はマイケル・キートン(Michael Keaton)が手にしたというわけで、私にはドクター・フェイトがはまり役なのだと思います。」
もちろん、ブロスナンは、全く異なったイメージを持つ、『007シリーズ』ジェームズ・ボンド(James Bond)役に抜擢され、4本のシリーズ作品出演を通して『永遠のボンド』と称えられる成功を収めている。にも関わらず、彼のコミック・ブック・ワールド(漫画の世界)に入ってみたいという願いが消え去ることはなかったという。
ブロスナンいわく「私はいつも観客として『DCコミックス』を楽しんでいましたが、自分自身が、そうした一連の作品に出演する機会を手に入れることができるかどうか非常に懐疑的だったんです。ですから、ドクター・フェイト役のオファーが来たときは一も二もなく即その申し出を受けることにしたんです。」
現在ピアース・ブロスナン(69歳)は、妻のキーリー・シェイ・スミス(Keely-Shaye Smith)とともにマリブとハワイのカウアイ島にある2つの邸宅を行き来しながら暮らしている。夫妻の間には、ディラン(Dylan)(25歳)とパリス(Paris)(21歳)の2人の息子がいる。
━━あなたは、永遠のジェームズ・ボンドとして映画界に金字塔を残した後、別のスーパーヒーローの世界でドクター・フェイトとして新たなデビューを果たすことになるわけですが、この2人のキャラクターが残すレガシーについてどのように考えているのでしょうか?
以前は、ついそのようなことに頭を巡らしたりして、何かがうまくいかなくなると、そのことだけで疲れてしまったりしている自分がいました。でも、今は自然の流れに乗って仕事を楽しみ、まだこうして映画作りに関わっているという事実をただ単純に楽しんでいるんです。
もしかすると、私はここでドクター・フェイトとブラックアダムを通して全く新しい観客と出会うことができるかもしれません。『マンマ・ミーア!』(原題:Mamma Mia!)に出演した後も、若い女性たちが私のところにやってきて、『まあ、サム・カーマイケル(Sam Carmichael)さんですね。』と言ってきたんです。私も作品の一部として迎え入れられたことをとても誇りに思いましたし、うまくいけば、それはドクター・フェイトでも起こり得ることだと思っています。
Interview © Jan Janssen / Wenn
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後編へ続く・・・。