━━彼(マーロン・ブランド(Marlon Brand))と一緒に過ごすって、一体どんな感じなのでしょうか?
マーロンはとても波乱万丈な人生を送っている人なの。でもとても優しい人で、私にとっては特別な友人。彼とは仕事の相性もピッタリで、一緒に仕事をしていると、高速道路をスムーズに走る車に乗っているような気持ちになるのよ! でも、私はミニ車で、彼は当然のごとくロールスロイス! 今名前を挙げることはできないけれど、時には、「この人とは一緒に仕事をしたくないな!」と、直感で感じる人もいたりするけれど、マーロンとはそのようなことは全く感じたこともないし、私は彼を敬愛していて、その関係は彼が息を引き取る最後の日まで続いていたの。
━━多分、ショービジネスの豪華絢爛なパーティーに呼ばれる機会がたくさんあるのではありませんか?
それは相反した矛盾! 私は、片方の耳は全く聞こえないし、残りの片方は80%の音しかキャッチできない生まれながらの難聴で、身体的にもパーティーを楽しめるような状況ではないの。それに今はマスクを付けて行動しなければならない中、唇の動きで言葉を読み取る“リップリード”もできないし、パーティーに参加することは私にとって苦痛な時間でもあるの。
━━でも、その中でもきっと“きらびやか”なパーティーに参加したこともあるのでは?
最も特別な体験はコーエン(Coen)兄弟(映画製作者のジョエル(Joel)とイーサン(Ethan)のパーティーに出席したときのこと! そのときはホリー・ハンター(Holly Hunter)やシガニー・ウィーバー(Sigourney Weaver)が立ち上がって彼らにお祝いの挨拶をしていたの。そして、その後ラッフル抽選があって、何と私が当選して名前を呼ばれたというわけ! 最初は“ラッキー”と思ったけれど、壇上に向かって歩いているうちに、コーエン兄弟にお祝いの言葉1つ送っていない自分に気が付いて、“まあ、どうしましょう!”と、突然うろたえてしまったの。
とにかく景品を手にして“ありがとうございます。”という短いスピーチだけ残してステージを駆け下りたんだけれど、私の表情からその様子を察して機転を利かせたアンソニー・ホプキンスが壇上に上ってきてくれて「ステファニー、また会うことができて光栄に思っているよ。」とささやきかけてくれたの。思わず彼に向って「トニー、挨拶もしていない私が壇上に上がるなんて、とても面食らっているのよ。」と答えると、彼は「分かっているよ。だからこうして君を迎えに来ているんだよ。」と言って、私がテーブルに戻るまでエスコートしてくれたのよ。
━━まあ、何てステキな話でしょう! ところで、『ダイナスティ』(Dynasty:80年代に放映された、連続テレビドラマ)で演じた伝説の主人公“コルビー”(社交界の花形セイブル・コルビー(Sable Colby))があなたの代表作といえると思いますが、何か「記憶すべき記念品」のようなものはあるのでしょうか?
特にこれといえるものはないわ。撮影のときに身に着けた衣装はどれも全てエレガントすぎて、海辺を素足で歩くにはふさわしくないし、返却できる日が待ち遠しかったことを覚えているわ。ああ、それから近く催されるジョーン・コリンズ(Joan Collins)の結婚20周年記念パーティーに行くことになっているのだけれど、それって信じられる?
━━まあ、素晴らしいこと! ジョーンとはまだ親しくお付き合いしているのですか?
彼女はいつも多忙を極めているし、私も同じように忙しくて、お互い頻繁に会って何かを一緒にするというような仲ではないの。そう言えばここ2年くらいの間、一緒に夕食を楽しんだりしたことはないと思うわ。でもこのコロナ禍の状況では皆が同じ経験をしているわけですものね。
━━初期の頃に学んだレッスンの中からいまだに“教訓”として心に留めているようなことはあるのでしょうか?
エヴァ・ガードナー(Ava Gardner)からは撮影のライティングについて基本的なことを教えてもらったわ。どちらかというと、多くの学びは女性からで、男性から何か貴重な教訓をもらったことはないかもしれないわね。
WORDS © ANNA MATHESON
PHOTOS © NICKY JOHNSTON
HAIR & MAKE-UP: ANNA WINTERBURN
Vol.3へ続く・・・。