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OK! INTERVIEW☆ゲイリー・オールドマン: 映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(後編)
2018年度のアカデミー賞主演男優賞受賞に輝いたゲイリー・オールドマンがチャーチルへの驚くべき変身について語る。

limited 2018.03.27

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2018年度のアカデミー賞主演男優賞受賞に輝いたゲイリー・オールドマン(Gary Oldman)が映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』のチャーチルへの驚くべき変身について語る。


━━椅子の重要性についてお話し下さい。

ウィンストンの椅子ですね。私達は、チャーチルが生まれたブレナム(Blenheim)や彼が育ったチャートウェル(Chartwell)、首相官邸(Downing Street)、内閣戦時執務室(War Rooms)といったチャーチル所縁の地を見学する事が出来て幸運でした。私は、実際の内閣戦時執務室への入室が許可され、チャーチルが戦争中に座っていた椅子に座る事が許されました。その椅子の左手の肘掛けには、非常に深い窪みと爪による引っ掻き傷がありました。そして、右の肘掛けには、指輪による引っ掻き傷がありました。これは俳優にとっては、素晴らしい発見です。チャーチルのストレスと不安を垣間見る事が出来た訳ですから。そうした彼の感情が今もこの椅子に生き続けているのです。


━━年齢を重ね今俳優として、どなたがあなたのインスピレーションの源になっていますか?

アルバート・フィニー、アレック・ギネス(Alec Guinness)、ピーター・セラーズ (Peter Sellers)、トム・コートネイ(Tom Courtenay)、アラン・ベイツ(Alan Bates)、ヴィヴィアン・リー(Vivien Leigh)、私は彼女が大好きです。ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)、アメリカ人俳優では、私はジョージ・C・スコット(George C. Scott)の大ファンです。明らかに私は、ロバート・デ・ニーロの影響を受けています。デ・ニーロとスコセッシ(マーティン・スコセッシ:Martin Scorsese)の組み合わせが魔法を産み出しています。
ジーン・ハックマン(Gene Hackman)も大好きです。『カンバセーション…盗聴…』(原題:The Conversation:1974年アメリカ映画、フランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)監督)を見ました。俳優だけではありません。私は、パゾリーニ (ピエル・パオロ・パゾリーニ監督:Pier Paolo Pasolini)が大好きです。トニー・リチャードソン(Tony Richardson)。妻と私は先日夜に、ヒッチコック(アルフレッド・ヒッチコック:Alfred Joseph Hitchcock)映画の『私は告白する』(原題: I Confess、1953年アメリカ映画)を見ました。


━━モンゴメリー・クリフト(Mongomery Clift)は?

はい。彼にも影響を受けています。彼は映画に視線を与えました。映画の登場人物に投げ掛ける視線です。彼の視線を見るだけでも入場料を支払う価値があります。映画は、映画全体を楽しむものですが、その中には特別な瞬間があります。それは監督や俳優が行ったり、もしくは脚本によって引き起こされる特別な瞬間です。アーロン・ソーキン(Aaron Sorkin:アメリカの脚本家)は天才です。私達夫婦の楽しみは、彼が脚本を手掛けた『ザ・ホワイトハウス』(原題:The West Wing)の全シリーズを初めから終わりまで見て、次に『スタジオ60』(Studio 60 on the Sunset Strip)を見て、その後は『ニュースルーム』(原題:The Newsroom)を見る事です。そして、テネシー・ウィリアムズ(Tennessee Williams)やユージーン・オニール(Eugene O'Neill)といった偉大な劇作家の作品にも圧倒されます。

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━━チャーチルがヒトラーを打ち負かしていなければ、世界地図はきっと全く変わったものになっていた事でしょう。この物語は、現在の不安定な国際情勢と関連性があると感じていらっしゃいますか?

そうですねえ。明らかにきっと世界は非常に変わったものになっていたでしょうね。もしナチスドイツに降伏していたとしたら、それが短期間で終わったか長期間になったか分かりませんが、ナチスの隊員がイギリスの通りを歩き回り、かぎ十字の旗がはためき、ドイツ語が学校教育に導入され、恐らく第一言語になっていたでしょう。私達は、地中海地域にはいなかったでしょう。アフリカにもいなかったでしょう。ナチスドイツは恐らくもっと早い段階でロシアに到達して、もし彼らを敗北させた冬がなかったとしたら、ロシアを支配下に治めていた事でしょう。彼らは既にV1ロケットとV2ロケットを持っていました。そして彼らは、ジェット機も持っていました。彼らの科学は我々よりも遥かに進んでいたのです。
ダンケルクの戦いで敗れた英国陸軍の兵士の数は約30万人でしたが、ヒトラーは500万人の兵士を擁していたのです。従ってもし彼が強大な無敵艦隊を持っていたとしたら、彼はとてつもない軍隊を築いていた事でしょう。彼らはドイツ人科学者に水素爆弾開発を命じて、それを成功させていた事でしょう。
そして、もし彼らが既存兵器でロシアを占領する事が出来なかったとしても、彼らは水爆によってその目的を達成して、その後、大艦隊をアメリカに向かわせた事でしょう。そうなっていたかもしれません。
ジョーは、決して今話題になっている事柄を取り上げた映画を作るつもりはありませんでした。脚本家のマクカーテンがこの作品のアイディアを思いついたのは5、6年前の事でした。1940年の数ヵ月間に起こった出来事を脚本にするというアイディアでした。
ですから、今世界で起こっている事を描く考えはありませんでした。繰り返し起こっている劇的な歴史的転換点的出来事は、この映画には登場しません。大統領選挙も出てきません。私達が始めたブレグジット(Brexit)も登場しません。
ジョーは、クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)が『ダンケルク』(原題:Dunkirk:2017年英・蘭・仏・米合作映画)を製作していた事も知らなかったと思います。


━━チャーチル以外で第二次世界大戦に関係している人物を演じるとしたら、誰が良いですか? もしくは、あなたに近しい人物で、その人の物語を伝えたいと思っているキャラクターはございますか?

そうですねえ。そうしたサウスロンドン(South London)で育ったような人物は『ニル・バイ・マウス』(原題:Nil By Mouth:1977年・ゲイリー・オールドマン監督)で演じました。そうした要望や欲望には応えたと感じています。これから演じてみたいと思っているキャラクターはさほど多くはありません。私がこれまでに演じた殆どの役柄は、頼まれて演じました。私の方から希望した事はありません。


━━これまでにヒトラーを演じた事はございましたか?

ヒトラー役を要請された事はありました。いや。チャールズ・マンソン (Charles Manson)役をオファーされましたが、断りました。誰がチャールズ・マンソンを演じたいと思うでしょうか。そこには行きたくなかったのです。
これは愛についての映画です。ウィンストンとクレメンタイン(Clementine)の大変愛情深く、お互いを支え合う関係を描いています。英国民へのラブレターでもあります。労働者階級の立ち直る力を讃えています。でも特にこれから演じてみたい役はありません。ただ私の机の上にどんな脚本が届くのかを待つだけです。


━━私達はかつてあなたが悪役を演じるのを見る事が多かったですが、悪役よりもヒーローを演じるのを決断したのは意識してのものですか?

悪役を演じるのをしばらく後回しにする事にしました。悪役は、報酬は良いのですが、いつも「そうだ。恐ろしいゲイリーにやってもらおう」といった調子で、私はとても疲れてしまいました。それで「もう悪人を演じるつもりはありません」と言うしかありませんでした。
私に善人を演じさせて下さい。そうして、『ハリー・ポッターシリーズ』(Harry Potter)でシリウス(Sirius)役を演じました。最初、私達は彼を悪役だと思いますが、後に彼がハリーの後見人である事に気付きます。そして、もちろん次は(バットマン・シリーズ(Batman)の)ジム・ゴードン(Jim Gordon)です。彼は腐敗とは無縁の人物です。「どうかもう悪人を演じさせないで下さい」と宣言して、方向転換を図るのは大変な決断でした。何故なら私は、テディベアですから(笑)。


Interview © Lucy Allen/Hotfeatures
Photographs © Toby Hancock/Express Syndication


END.
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